2021 Fiscal Year Research-status Report
視覚化デバイスを用いた化学放射線療法に伴う口腔粘膜炎へのセルフマネジメント支援
Project/Area Number |
20K10789
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Research Institution | Kanagawa University of Human Services |
Principal Investigator |
土井 英子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 講師 (10457880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 美香 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (80276659)
小林 珠実 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 准教授 (50382263)
大場 美穂 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 講師 (20451768)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 頭頸部がん患者 / 口腔粘膜炎 / サーモグラフィー / セルフマネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、炎症所見に着目して化学放射線治療に伴う口腔粘膜炎の程度を可視化し、頭頸部がん患者が口腔粘膜炎の重症化を予防するためのセルフマネジメント支援を開発することである。研究2年目となる令和3年度も口腔内の撮影に際してCOVID-19の感染のリスクがあること、対象である頭頸部がん患者の感染への不安が高いことが予測された。そのため、サーモグラフィーで口腔内を撮影するときの条件および安全な調査環境を整える必要があり、計画を変更した。対象者を健康な人とし、口腔粘膜の炎症を可視化するためにサーモグラフィーを使用した撮影条件および安全な撮影環境の整備の検討を目的とした。研究代表者が所属する施設の研究倫理審査委員会の承認を得て、健康な人を対象とした調査に着手した。対象候補のCOVID-19感染への懸念から対象人数を確保することが難しかったため、化学放射線療法を受ける頭頸部がん患者のセルフモニタリング支援の把握を並行して行うことにした。セルフモニタリングは、口腔粘膜炎の重症化を予防するためのセルフマネジメントの包含される重要な概念である。そのため、化学放射線療法を受ける頭頸部がん患者への看護実践経験あるいはがん治療を受ける患者の口腔有害事象に関する看護実践経験のある臨床看護師にインフォーマルにヒアリングを行った。その結果、看護師は口腔内評価として口腔粘膜の視診よりも食事摂取量や摂取しやすい食事形態、嚥下時痛をより重視していることが分かった。また、看護師による口腔内評価が実践経験により差があるのではないかとの懸念していた。サーモグラフィーによる口腔粘膜の画像評価に加えて患者の主観的評価を加えた評価指標とすること、看護師の口腔内評価への教育的な支援が必要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
口腔内の評価指標作成に向けて、サーモグラフィー画像の撮影条件および安全な撮影環境の検討を前年度から継続して行った。健康な人を対象に口腔粘膜の炎症を同定するための口腔粘膜の撮影に着手したが、COVID-19への感染を懸念して対象者の確保が難しかったためやや遅れているといえる。しかし、口腔粘膜炎の炎症を同定するための調査期間は当初の計画から十分な時間を確保していること、口腔粘膜炎の重症化を予防するためのセルフマネジメントの基盤となるセルフモニタリング支援について看護実践家の現状把握を並行して行ったため、研究遂行に支障はない範囲である。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔粘膜炎のサーモグラフィー画像の撮影については、撮影要件を特定するために健康な人を対象とした調査を引き続き行う。その後に、放射線療法を受ける頭頸部がん患者に対して実施することにする。調査研究施設とは研究開始に向けて初年度より研究実施に向けた相談・調整を行っていること、看護実践家のセルフモニタリング支援の現状把握を行ったことから、今年度の遅れについては、当初の計画の進捗にほぼ戻すことが可能と考えている。
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Causes of Carryover |
2021年度使用において差額が生じた理由は、健康な人を対象とした口腔粘膜の炎症を同定するための撮影要件と安全な調査環境の検討に時間を要したこと、対象者の確保が想定よりも難しかったことから、調査に関わる費用を繰り越すことになった。口腔内の撮影については2022年に実施する予定である。
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