2021 Fiscal Year Research-status Report
出口を見据えた不眠医療の確立をめざすSDMの臨床実装と普及にむけた検討
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20K10792
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Research Institution | St. Luke's International University |
Principal Investigator |
青木 裕見 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (40803630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 和弘 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 教授 (50222170)
高江洲 義和 杏林大学, 医学部, 非常勤講師 (90421015)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 睡眠薬 / 不眠症 / 出口戦略 / 共同意思決定 / shared decision making / デシジョンエイド / decision aid |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、睡眠薬を使用中の人向けに、生活改善の具体策、長期に睡眠薬を使用する利点・欠点、心理社会療法の利点・欠点を示した shared decision making (共同意思決定, SDM)の補助ツールであるデシジョンエイドを開発し、睡眠薬を使用中の人と医療者が、そのツールを使いながら、一緒に今後の治療を決める SDMの手法の効果(社会問題となっている長期・高容量の睡眠薬の使用を改善させうるか)を外来診療において、検証することである。 初年度の令和2年度は、デシジョンエイドの試案を作成し、ステークホルダー(当事者・医療者)を対象に、その試案の使用感調査(読みやすさや内容の理解しやすさを評価)を実施した。結果は、当事者および医療者ともに、概ね良好な評価が得られた。自由記載欄へのコメント内容をもとに試案の修正をはかった。このプロセスを通じ、ステークホルダーの声を反映させたツールを開発することができた。 続いて令和3年度は、まず、令和2年度に開発した上記のデシジョンエイドについて、その開発プロセスおよび当事者・医療従事者の使用感調査の結果を国際学術誌に発表した。さらに、不眠症当事者の睡眠薬治療に関する認識および睡眠薬治療の継続・中止の意思決定法の実態を把握するべく、睡眠薬治療の経験のある当事者を対象に、オンライン調査を実施した。結果より、当事者は、不眠症治療において共同意思決定を希望していること、そして症状改善後は早期に睡眠薬を減薬することを望んでいる一方で、具体的な減薬法に関する適切な知識を十分には持ち合わせていないことが示唆された。これを受け、令和2年度に開発した上記のデシジョンエイドを活用しながら減薬に関する適切な情報を本人と共有し、本人の意向を踏まえた意思決定を行っていくことが求められていると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、睡眠薬を使用中の人向けに、生活改善の具体策、長期に睡眠薬を使用する利点・欠点、心理社会療法の利点・欠点を示した shared decision making (共同意思決定, SDM)の補助ツールであるデシジョンエイドを開発し、睡眠薬を使用中の人と医療者が、そのツールを使いながら、一緒に今後の治療を決める SDMの手法の効果(社会問題となっている長期・高容量の睡眠薬の使用を改善させうるか)を外来診療において、検証することを目的に、取り組んでいる。 初年度の令和2年度では、デシジョンエイドの試案を作成し、ステークホルダーである当事者および医療者を対象に、そのツールに関する使用感調査を実施した。さらにその調査結果をもとに、試案の修正をはかった。 2年目の令和3年度では、この意思決定の支援ツールの開発プロセスについて、海外学術誌にて発表することで、開発したツール・デシジョンエイドのPDF版を公開することができた。さらに、睡眠薬治療の経験のある当事者を対象にした意識調査を実施し、当事者は具体的な減薬法に関する情報を希求し、睡眠薬の継続・中止に関する意思決定への参加を望んでいることがわかり、当事者の視点からも本研究で開発したデシジョンエイドの導入・普及が求められていると考えられた。 以上、COVIDの影響でリクルートに難渋した時期もあったが、概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、以下の通り、研究を遂行していく予定である。 開発したツール・デシジョンエイドをを外来診療に導入すべく、医療従事者を対象に、本ツールの使用方法や共同意思決定の展開方法に関するオリエンテーションを実施する。 その上で、睡眠薬を使用中の人と医療者が、治療の選択肢を共有し、一緒に治療法を決める shared decision making (共同意思決定, SDM)の有用性の検討をはかる(実行可能性探索のための調査を実施する)。具体的には、選択した治療の内容、患者満足度、共同意思決定の実施の程度および減薬率、治療の継続率、不眠の程度を測定し、この手法の実行可能性を評価していく予定である。
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Causes of Carryover |
研究は概ね計画通りに実施できたが、COVIDの影響もあり、オンライン調査を実施したため、支出額が予定額を下回ったため。
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Research Products
(11 results)