2021 Fiscal Year Research-status Report
在宅精神障害者のエンド・オブ・ライフケアの実践的モデル構築
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20K10795
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
郷良 淳子 鈴鹿医療科学大学, 看護学部, 教授 (40295762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 純子 大手前大学, 国際看護学部, 教授 (50413422)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 在宅精神障害者 / エンドオブライフケア / 多職種連携 / 事例研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は地域の精神障害者のエンドオブライフケアのモデル構築のための研究である。 日本ではほとんど進んでおらず、手探りでの対応がいくつか事例報告で実践されている程度である。これまで海外の英語の文献のシステマティックレビューを行った。129文献(CINHALとOVID Medline)から23文献を選定した。海外においても精神障害者のエンドオブライフケアはほとんど進んでいないが、その障壁が指摘されていた。これらは、「精神保健専門職と緩和ケア専門職の連携の不十分さ」、「専門職の専門外の知識不足」であった。これらには、「精神障害者への偏見」が関連していた。精神保健、緩和ケアいずれの専門職も、余命に影響する身体疾患が精神疾患に悪影響を及ぼすことへの恐れから、身体疾患の治療やケアの説明を患者本人に十分に説明できていないことが視された。結果として、当事者のケアへの不満と不安が生じていた。 英国では、専門職の連携の不十分さに対応するガイドラインを作成していた。米国の実態は、余命少ない精神障害者は、精神疾患を持たない群より入院率が低く、ナーシングホームへの入所率が高かった。加えて精神障害者がホスピスに入っても精神障害を持たない群よりもケアが十分になされていないことが多くの文献で指摘されていた。日本では、精神科病院の合併症病棟での緩和ケアが不十分な環境で対応することが殆どで、早すぎる死が指摘されている。 かかるレビューを基に、地域での精神障害者のEOLCの実態を専門職を対象とした質的研究と事例分析により明らかにする。加えて精神科病院を有する総合病院の専門職への質問紙調査から、専門職連携や精神障害者のEOLCの促進と障壁となる要因を明らかする。これらの分析を統合し、在宅精神障害者のEOLCの基本モデルを提言する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ過による対面での調査が困難であったため
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Strategy for Future Research Activity |
現在対面調査のための準備をすすめており、2か月後には実施できる見込みである。 加えてそれをふまえた質問紙調査も今年度中に実施予定。 在宅精神障害者のエンドオブライフケアの実践は手探りであるが、地域包括支援センターや 規模の比較的大きい訪問看護ステーション(精神科に特化、非特化双方)でのインタビュー調査を実施予定。 加えて、これまでの海外での精神障害者のエンドオブライフケアの文献検討により、精神保健の専門職と緩和ケアの専門職の連携の問題が指摘されており、精神科病棟を有する総合病院への質問紙調査と退院支援をふまえたケアもデータとして組み込み、基本モデルを策定していく。
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Causes of Carryover |
2021年度まではコロナ禍で対面でのデータ収集を含む調査ができなかったため。
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