2022 Fiscal Year Annual Research Report
アドバンスケアプランニングと同時に開始する患者の生活関係清算への支援に関する研究
Project/Area Number |
20K10804
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
田中 愛子 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10285447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藪本 知二 山口県立大学, 社会福祉学部, 教授 (30244768)
永田 千鶴 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50299666)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生活関係の清算 / アドバンスケアプランニング / 看護師 / ヘルスケアチーム / 質問紙調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
人生の最終段階にある患者の様々な生活関係の清算(やり残していることを整理すること)に関連する苦悩やアドバンスケアプランニング(以下ACP)の実態を把握する目的で、3年以上の臨床経験を有する一般病棟に勤務する看護師と訪問看護師を対象に、質問紙調査を行った。調査は、山口大学保健学専攻生命科学・医学系研究倫理審査委員会(管理番号735)の承認を得て行った。調査対象者の背景は、一般病棟の看護師516名(71.4%)、訪問看護師206名(28.6%)合計722名であった。男性106名(14.7%)女性616名(85.3%)、看護師の経験年数は14.9±8.8年であった。 ACPの実施状況については、「状況により行われている」が51.8%と最も多い一方、「まったく行われていない」との回答は34.5%であった。ACPが行われる動機は、「医療者側が必要と感じた」74.1%で、「患者からの希望」は24.1%であった。ACPが行われていると回答した内の93.9%が、患者が望んでいる患者の生活関係の清算について、「いつも」あるいは「場合によって」話し合われると回答した。話し合いのきっかけは、「患者や家族が口にした」が67.2%で最も多かった。 患者からの相談内容は、家に帰りたい67.6%、自分が亡くなったあとの家族関係34.2%、持ち家の整理19.8%、相続問題19.1%、現在の仕事を完結したい16.3%、自分が亡くなったあとの事業経営の心配16.3%などがあった(複数回答)。さらに、これらを話し合うには、医療ソーシャルワーカーやケアマネジャーの役割が重要であり、多職種に生活関係の清算に関する課題を繋げる役割は、看護師が担う必要があると94.5%が回答した。 看護師は、患者が望む生活関係の清算が可能になるように、痛みや身体症状の緩和、患者とのコミュニケーション、患者の生活の質の維持向上に努めていた。
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