2021 Fiscal Year Research-status Report
精神科病院における長期入院患者の終末期に対する意思決定支援
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20K10816
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
田代 誠 神奈川工科大学, 健康医療科学部, 講師 (40867298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 真紀 神奈川工科大学, 健康医療科学部, 教授 (10286370)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 意思決定支援 / 精神科 / 終末期 / 長期入院患者 / 看取り |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、精神科病院における長期入院患者の意思決定支援を明らかにすることが目的である。これは人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドラインで用いられているアドバンス・ケア・プランニング(ACP)を精神科病院の長期入院患者に導入し、充実した終末期医療・看護が展開されることを目標としている。 2021年度は、2つの精神科病院の協力を得て、看取り経験のある看護師を対象に半構成的インタビューを実施した。「終末期・看取りと判断された段階での患者へのケアの取り組み」「終末期の意思決定支援における看護師の役割」についてインタビューを行い、逐語録を質的に分析した。その結果、【病棟機能と患者の高齢化】【看取りに向けた関わり方の戸惑い】【その人らしさを支えるケア】【患者不在の意思決定】【死に触れない】が抽出された。 地域移行支援を前提として、看取りに積極的ではない看護師も、患者の高齢化や、社会情勢の変化から、看取りに向き合う必要が状況にあると理解していた。しかし、看護師の看取り経験の少なさや、終末期に関連する患者とのコミュニケーションのなさによって、終末期ケアを語ることがない病棟文化であることが推察された。そして、これによって、患者不在のまま決定している死の在り方と看護師が無意識的に死を避ける傾向が精神科病院での看取りに影響しているのではないかと考えられた。 次の課題として、増加する長期入院者で高齢者の死にどう触れていくかという点において、終末期支援を語れる病棟づくりや、患者の意思決定に対する支援方法の検討が必要である。そのため2022年度は、看護師に対して長期入院患者の意思決定の支援方法について教育プログラムを行い、評価していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度は、長期入院患者のケアを実践している看護師に対する終末期の意思決定支援の実態と臨床現場における問題や課題について精神科病院2施設から調査を行った。第2段階として調査結果を整理し、精神科病院での終末期における患者の意思決定支援に対する課題を踏まえて、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)導入に向けた方法を病院と検討する予定となっていた。 しかし、新型コロナウイルスによる感染拡大、渡航の禁止があり、研究協力病院での非常勤勤務が終了してしまった。このことにより新規研究協力病院の開拓が必要になったことで実施が遅れている。 また、同様の理由によって、終末期に関連したアドバンス・ケア・プランニング(ACP)に関する研究会のトレーニングに参加できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、2021年度に予定していたアドバンス・ケア・プランニング(ACP)導入に向けた方法について、研究協力病院と検討を繰り返し、主に看護師に対するトレーニングと意思決定支援に関する教育を実施する。特に、人権、倫理という側面と精神科医療の背景、社会的ニーズを組み合わせながら、精神科かつ長期入院患者に合わせたアドバンス・ケア・プランニング(ACP)導入に関するプログラム草案を作成し、実施する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響で出張自粛となったため、旅費分に余剰がでたため。
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