2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K10841
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Research Institution | Kobe City College of Nursing |
Principal Investigator |
井上 理絵 神戸市看護大学, 看護学部, 准教授 (10709182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富岡 美佳 姫路大学, 看護学部, 教授 (30441398)
中塚 幹也 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (40273990)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 性同一性障害 / 更年期 / ホルモン療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は,国内の文献を対象にGIDの治療,ホルモン療法について文献検討を行い,我が国における現状と今後の課題について示唆を得ることとした。その結果,研究対象者は当事者が多く,手術やホルモン治療などの症例報告,医療介入,副作用に関する文献がが多くなっていた。長期的にホルモン療法を行うことによる副作用に関する報告はあるが、その対処方法や当事者への健康支援についての具体的な支援策は見られなかった。課題としては,以下の3点が明らかとなった。1)ホルモン治療は長期にわたることになるため、医療機関の整備と連携が課題である。2)手術や治療方法により費用面での格差があることが課題である。3)成人期以降、更年期、老年期の生活や支援について具体的に触れている報告はなく,早急な対応が必要である。 GID当事者の健康支援については,思春期への対応は少しずつ進んでおり,各教育機関に向けても多様性の容認や性的自認・性的思考に対する差別撤廃に向けて対策が進んでいる。しかし、これまでホルモン治療や外科的な治療を受け,思春期~成人期を経てきた対象者が,これから更年期や老年期を迎える世代になった時,どのような支援が必要か,いまだ未着手であることが改めて明らかとなった。各年代に応じた支援が必要であり,更年期から老年期に向けた個別の対応も必要である。今後,国際的にも大幅な認識の変更が期待される中,医療機関の整備や費用面での格差についても早期の解決に向けた支援が望まれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は対象者へインタビュー調査をする予定であったが、新型コロナ感染拡大の影響を受け、研究実施予定施設への立ち入りが制限されている状況が続いている。その影響でインタビュー対象者との接触が難しくなっており、実際の研究が滞っている状態である。研究、分析に必要な文献の購入、研修会へのリモート参加は実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度のインタビュー調査の内容から,2021年度質問紙調査を行う予定であったが,1年間実行が遅れていることを受け,GID対象者へのインタビューを8月までを目途に実施し、内容分析を行う予定である。インタビューについては,研究分担者の協力を受け,リモートを活用して行う方法を計画中である。また,インタビュー内容の分析については,研究分担者とリモートや対面での分析の機会を作る予定である。対面での分析を行う場合は,コロナ感染拡大防止について十分に留意し,3密を避け喚起を行いながら短時間で済ませる予定である。 今後のスケジュールは,計画の修正を早期に行い,遅延しているインタビューを早期に着手する予定である。その内容分析を経て,質問紙の内容作成,質問紙調査の実施を考えている。 研究計画案の変更は,当初の予定よりも1年の遅れを考えて遂行する予定である。研究を遂行する上での課題としては,新型コロナ感染対策があげられる。緊急事態宣言下では,県境を越える移動が困難なため,可能な限りリモートでのインタビューを実施する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は,コロナ感染拡大防止のため実質的な調査ができていない。そのため,インタビュー時に使用する目的で購入予定であった音声録音用レコーダーを購入していない。また,個人情報等の機密書類等を処理することも生じなかったためシュレッダー購入に至らなかった。インタビューの結果から導き出された内容を分析し,質問紙調査に向けた準備をする予定であったため統計ソフトと外付けハードディスクの購入を計画していたが見合わせている。調査内容の説明で使用する予定であったプロジェクターについても同様の理由で購入を見合わせている。よって,2021年度にインタビューを実施する予定に計画を調整しているため,これらの物品を今年度に繰り越し、購入する予定である。 具体的には,8月ころまでにインタビューを実施し、その後分析を行う予定であるため,6月までに購入したいと考えている。
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Research Products
(1 results)