2020 Fiscal Year Research-status Report
発達障害児の保護者の受容を促す保健師の評価指標の開発と保健指導実践能力の検証
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20K10862
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Research Institution | Kinjo University |
Principal Investigator |
子吉 知恵美 金城大学, 看護学部, 講師 (50363784)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 発達障害児 / 保健師 / 早期支援 / 支援実践 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、これまでの面接調査結果から質問紙調査項目34項目を検討した。研究1の実施については、COVID-19の影響もあり機縁法において発達障害児の早期支援に向けた保護者の障害受容を支える保健指導実践評価尺度(原案)としてまとめた内容を英文にした。当初予定していた全国調査がCOVID-19の状況を鑑み、機縁法としたことからサンプルサイズも小さくなった。調査結果は、機縁法にて118ヵ所455通の質問紙を郵送した結果、回収率は、152件(33.4%)であった。このうち、欠損値の多かった1件を除いた151件を解析対象とした。「対象地域」は、北海道地方から九州地方まで全域に渡り、「設置主体」は、136(89.5%)が市町村であった。「性別」は、149(98.0%)は女性であった。「年齢」は、31歳~40歳が56(36.8%)、41歳~50歳が52(34.2%)であった。「保健師経験年数」は平均16.27±9.09(mean±SD)年、「発達障害児の支援経験年数」の平均は、9.64±7.45(mean±SD)年であった。第1因子は、「子どもの発達障害に対する保護者の理解と受容状況を確認しながら支援する」など5項目が含まれた。第2因子は、「経験知に基づいた発達障障害児への支援を後輩に伝える」など8項目が含まれた。第3因子は、「虐待の有無をアセスメントし、子どもと保護者に必要な支援をする」など5項目が含まれた。確認的因子分析、基準関連妥当性の検討、信頼性の検証を行った。信頼性の検証においては、Cronbach's α係数は.921であり、第1因子α=.872、第2因子α=.820、第3因子α=.802を示した。信頼性および妥当性は統計学的に許容範囲内であることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本来予定していた全国調査は、COVID-19の影響もあり、実施を控えたが、機縁法において発達障害児支援を実践している全国の保健師118件に対し、質問紙調査を実施し、尺度を開発することができた。回答者数の設定根拠は、α=.05,検出力(1-β)=.8と設定し、回答者数を設定した。G*powerver3.1.9.2では、効果量.5を検出するのに必要なサンプルサイズは134以上であった。また、松尾は、データ数は、項目数×5倍程度と述べており、尺度原案の項目数34項目であったことから170件を目標サンプル数と考え、回収率を35%程度とし、全体で455件を郵送した。機縁法にて118ヵ所455通の質問紙を郵送した結果、回収率は、152件(33.4%)であった。このうち、欠損値の多かった1件を除いた151件を解析対象とした。おおむね必要数そろい、信頼性の検証においても、Cronbach's α係数は.921であり、第1因子α=.872、第2因子α=.820、第3因子α=.802を示した。確認的因子分析において、構成概念妥当性を検証するため、共分散構造分析を用いて確認的因子分析を行った結果、3因子18項目のモデルの適合度指標は、χ2/df値=142.161、P=.005、GFI=.859、AGFI=.818、CFI=.922、RMSEA=.070、(P=.000)で収束した。各因子間のパス係数は.82~.89を示した。下位項目へのパス係数は.39~.82の範囲を示した。基準関連妥当性の検討をした結果も、内的整合性が保たれ、信頼性および妥当性は統計学的に許容範囲内であることが確認された。研究1の実施については、COVID-19の影響から規模縮小とはなったが、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
計画で研究1としてあげていた尺度開発については、COVID-19の状況下ではあるが、現在できる範囲で検討した。今後、状況が許すならば、今回作成した内容をもとに、全国調査にて再度確認していきたいと考える。また、計画2については、研究1の送付時に同時進行で実施できればと考えている。研究1、研究2についてはCOVID-19による影響が保健センターにどれだけあるかという状況をみながらの実施にはなるが、延期も視野にいれながら実施できる時期に実施をしたいと考える。研究1、研究2については広く公表できるよう洋雑誌も視野に公表を考えていく。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により、国際学会等への公表は見送りとなった。 次年度繰り越しをしての使用については、使用目的としての研究成果の公表という点において、公表の仕方を変え、洋雑誌投稿により公表を目指し、論文投稿や英訳校正等に使用したいと考える。また、オンラインでの国際学会や研修会の開催があれば検討したいと考える。
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