2020 Fiscal Year Research-status Report
被害直後の性暴力被害女性に対する看護ケア実践能力測定尺度の開発
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20K10864
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
福本 環 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (40650619)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 性暴力被害女性 / 看護ケア / 被害直後 / 医療機関 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年10月、性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(以下支援センター)が47都道府県すべてに設置された。医療機関が被害直後の性暴力被害者に対して果たす役割は大きく、適切にケア提供できる看護職養成は喫緊の課題となっている。 研究代表者は、基盤研究C(H29-R2)において、これまでほとんど明らかにされていない看護職が被害直後に支援センターと連携する医療機関を初診で受診した性暴力被害女性に対して実際に提供しているケアをケアの意図性を含めて明らかにし、必要とされる看護ケアを検討するために面接調査を実施した。研究協力が得られた医療機関は10か所、看護職は合計20名、全員女性であった。分析の結果、被害直後の性暴力被害女性に提供している医療機関における看護ケアとして、【安全と安心の提供】【円滑な診察のサポート】【信頼関係の構築】【心身および尊厳の回復支援】【支援の継続】の5つが抽出された。そして、必要とされる看護ケアとして、提供されている看護ケアから浮き彫りとなった課題より「専門的知識を備えた女性看護職を主体とした支援体制の構築」「女性警察官との連携」「急性ストレス障害およびトラウマに配慮した看護ケアの充実」「『汚れてしまった』という感情に配慮した看護ケア」の4つが導かれた。 本研究の目的は、被害直後の性暴力被害女性に必要とされるケア内容を明らかにし、看護ケア実践能力を測定できる尺度を開発することである。しかし、基盤研究C(H29-R2)で示された必要とされる看護ケアは、提供されている看護ケアから浮き彫りとなった課題から導かれたものであり、本当に必要で十分な看護ケアなのかの検討は不十分である。今後、国内外の文献を精読し、基盤研究C(H29-R2)で明らかとなった実際に提供されている看護ケアを参考とした上で、必要とされる看護ケアの指標項目を作成する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度は、基盤C(H31-R2)で得られたデータをもとに必要とされる看護ケア内容を概念化する予定であった。しかし、研究計画を遂行していく中で、必要とされる看護ケアを検討するよりも、まず看護職が臨床で実際に提供しているケア内容をケアの意図性を含めて丁寧に検討する必要があると考えた。この影響により、提供している看護ケアの検討は丁寧にできたものの、必要とされる看護ケアの検討が不十分となった。したがって、必要とされる看護ケアを検討するために、再度国内外の文献の精読などを行う必要が生じているため。
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Strategy for Future Research Activity |
国内外の文献を精読し、基盤研究C(H29-R2)で明らかとなった実際に提供されている看護ケアを参考とした上で、必要とされる看護ケアの指標項目を作成する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、研究成果を公表するための旅費等の支出を要しなかったためである。 令和3年度は、国内外の文献収集および文献管理のための費用、専門的な指導を受けるための費用および謝金、会議開催費に関する経費等が必要となる。
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