2022 Fiscal Year Research-status Report
産婦健康診査事業の充実を目指した遠隔支援システムの開発
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20K10882
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大井 伸子 岡山大学, 保健学研究科, 客員研究員 (60155041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 亜矢乃 岡山大学, 大学病院, 准教授 (00423294)
増山 寿 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (30314678)
芳我 ちより 香川大学, 医学部, 教授 (30432157)
岡 久雄 岡山大学, ヘルスシステム統合科学学域, 特命教授 (80116441)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 産後2週間産婦健康診査 / 産後うつ / 育児不安 / スクリーニング / ICT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,1)産後2週間健康診査を受診できない母親を対象に遠隔システムを活用し,産後の身体・精神・育児についてのスクリーニングを行うためのプログラムを作成し,スクリーニングが可能か有効性を検証すること,2)EPDS高得点の母親については受診につなげること,またEPDS得点は問題ないが育児に不安のある母親に対しては育児相談を紹介し効果を検討し,産婦健康診査への遠隔指導システムを開発することとする。 1)産後2週間産婦健康診査を受診できない母親を対象に遠隔システムを活用し, 産後の心身の健康状態・育児のスクリーニングプログラムの有効性を検証する。①産後の身体・精神的健康状態及び育児に関する産後質問紙を作成した。②産後2週間健康診査を受診できない母親を対象に,本研究の趣旨を説明し割り当てられたID番号とQRコード(産後質問紙)を示した用紙を渡し,産後2週間頃にQRコードを読み取り,アンケートフォーム(産後質問紙:26項目)にアクセスして,回答後送信された回答情報から,a要受診の母親(EPDS高得点),b要育児支援の母親(EPDS得点は問題ないが育児に問題がある),c経過観察の母親(EPDS得点・育児共に問題がない)の3群に分類する。そのためのサーバー管理と回答システムを作成した。④回答情報を考慮して,回答した母親に判定された結果毎に,要受診の母親 (EPDS高得点)には受診に向けての対応,要育児支援の母親には育児相談機関を紹介,問題がない母親には経過観察するようメールを送信する。 2)EPDS高得点の母親については受診につなげ,またEPDS得点は問題ないが育児に不安のある母親に対しては育児相談を紹介し効果を検討する。 3)産後の心身の健康状態・育児のスクリーニングを行った結果や改善点,産後2週間健診を受診できない母親への遠隔サポートシステムを検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.産後の心身の健康状態・育児のスクリーニングプログラムの有効性を検証するために,1)産後の身体・精神的健康状態及び育児に関する産後質問紙を作成した。2)対象者が作成した産後質問紙のQRコードを読み取り,回答した質問紙が送信されるサーバーの維持管理とシステム保守を専門業者に依頼し,回答システムを作成した。3)返信用の専用メールアドレスを作成し,回答用サーバーへのアクセス用の専用PCを用いるための準備を整えた。4)本格的な運用を目指して,出産後の母親13人にテストケースとして,回答システムへの試験を実施し,回答に対する返信を行った。 2.テストケースは13人中11人から返信があり,EPDS9点以上は1人で,対応は担当助産師が電話訪問を行い,育児相談機関を紹介した。 3.2022年5月から研究を開始し,出産後入院中の褥婦で産後2週間健康診査を受診しない者114人を対象に,研究の主旨・目的,倫理定配慮を説明し同意を得た上で,ID番号とQRコード(産後質問紙URL)を示したカードを渡した。2023年4月末までに93人から送信があった。アンケートフォーム(産後質問紙:26項目)の回答情報から,a要受診の母親(EPDS高得点)は16人,b要育児支援の母親(EPDS得点は問題ないが育児に問題がある)は61人,c経過観察の母親(EPDS得点・育児共に問題がない)は16人の3群に分類された。全員に回答内容に対する返信を行った。メール返信後に,要育児支援の母親に対して電話やメール,オンラインでの相談を行った。 4.1か月健診時,返信のあった対象者にアンケートフォーム・サポートシステムの調査を行ったが,産婦健診システムの評価は高く,電話相談はハードルが高いが自分の都合で入力し返信文が読める等の意見があった。
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Strategy for Future Research Activity |
1.2週間健康診査を受診できない者で,アンケートフォーム(産後質問紙)にアクセスをして回答した者100人程度を目標に,研究を行う。対象者は岡山大学病院で出産し退院前の者で,以下の基準を満たす者。①産後2週間健康診査を受診できない者 ,② 同意取得時の年齢が20歳以上,③ 研究の目的を説明し,同意の得られた者。 2.対象者は産後2週間頃にQRコードを読み取り,アンケートフォーム(産後質問紙:26項目)に回答し,送信された回答情報から,a要受診の母親(EPDS高得点),b要育児支援の母親(EPDS得点は問題ないが育児に問題がある),c経過観察の母親(EPDS得点・育児共に問題がない)の3群に分類する。問題はないが育児に不安のある母親に対して,育児相談機関の利用を勧め,利用状況や結果を検討する。 3.受診を勧めた母親の受診の有無と受診結果,要育児支援の母親の育児相談機関への相談の有無と相談結果を検討する。 4.1か月健診時,対象者全員を対象にアンケートフォーム・サポートシステムの使いやすさについて調査を行い,産後の心身の健康状態・育児のスクリーニングを行った結果やアンケートフォームやシステムの改善点等を検討する。また,従来から行われている育児での電話相談以外に,母親が手軽に,利用しやすい育児支援を提供するために,方法等の検討を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により,研究開始までが非常に困難な状況であったため時間を要した。2022年4月からプレテストを行い,5月から研究開始となった。そのため,目標の症例数にまだ到達していない状況であり,次年度使用額が生じている。使用計画としては次年度実施予定の産後の心身の健康状態・育児のスクリーニング結果及び産後2週間健診を受診できない母親への遠隔サポートシステムの検討に必要な費用等に充当する。
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