2020 Fiscal Year Research-status Report
尿失禁予防のための周産期骨盤底ケアプログラムの開発:助産師とPTによる協働モデル
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20K10898
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
池田 真弓 帝京大学, 公私立大学の部局等, 講師 (50583001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神尾 博代 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 助教 (30289970)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 骨盤底ケア / 助産師 / 理学療法士 / 協働 |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠・分娩は女性の骨盤底への大きな侵襲であるが、その影響はすぐには表面化しない側面があるため、分娩回数や分娩様式に関わらず分娩後のすべての女性に対して何らかのケアが必要である。 本研究は、助産師と理学療法士がそれぞれの専門性を活かし、妊娠期から分娩後までの骨盤底ケアを提供し、妊娠中からの継続した介入の効果を検証することを目的とした縦断研究である。 2021年度は、研究協力施設で分娩した産後の女性を対象とし、「産後のセルフケアクラス」を開催した。このクラスは、理学療法士による実技を含めた30~40分間の個別指導とした。COVID-19の感染予防対策として、会場となる和室は69.81m2、定員30名の広いスペースとし、移動間仕切りにより2部屋に分け、研究参加者同士が接触することが無いようにした。また、入室時には非接触型体温計による検温、アルコールによる手指消毒、マスク着用を徹底し、クラス担当者ならびに研究者はそれに加えフェイスシールドを着用し、参加者ごとに使用した物品(ボールペン、テーブル等)はその都度アルコールで消毒した。 クラスの内容は、身体状況の確認(姿勢、疼痛部位、関節可動域、筋力評価、腹直筋離開、ASLR)、骨盤底の収縮の状態、呼吸パターン、インナーユニットトレーニング指導、姿勢調整指導、動作指導であり、個別の状況に合わせて実施した。 クラス開始時から終了まで、参加者の言動について研究者が観察し、クラス終了後に研究者が30分程度のインタビューを行い、クラスの有用性と参加者ニーズを検証した。産前~産後における問題分析、ニーズアセスメント、効果的な骨盤底ケアのプロトコールについてデータ分析を行った。この結果を骨盤底ケアを含めた包括的な実践となる妊娠中から産後までの継続したケアプログラムの開発に活かすことを目的とし、今後関連学会にて発表および論文投稿の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19感染拡大防止のため、外部者による施設内への立ち入りが困難になったこと、介入群には妊娠中の集団指導を実施予定であったが、研究協力施設における妊娠中および産後の集団クラスがすべてオンラインになったことを受けて当初の研究計画から大幅な見直しを行った。そのため当初の計画からはやや遅れてはいるが、修正後の研究計画でおおむね順調に進展しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
妊娠期から分娩後までの継続した骨盤底ケアの効果の検証を目的に、当初の研究計画では、介入群には妊娠中と産後に集団指導による介入を行い、産褥早期および1か月健診時に個々の状態に応じた個別指導を実施し、通常ケアの対照群との群間比較を行う計画であった。しかし、COVID-19の影響により、集団指導が困難になったため、理学療法士の個別指導による介入方法に変更した。また、外部者による施設内への立ち入りが困難であることから、介入実施者を研究協力施設の助産師に限定し、妊婦健診の機会をとらえて妊娠期の介入を行うこととした。したがって、二群比較の介入研究から、助産師が理学療法的視座を得て妊産褥婦への身体ケアを助産実践に取り入れ、妊娠中から産褥期まで継続したケアとして提供することの有用性を探索する観察的縦断研究のデザインに変更した。 2021年度は、研究協力施設の助産師を対象に、理学療法的視座を得ることを目的とした勉強会を複数回開催し、勉強会受講後の助産師の認識の変化、および妊産褥婦へのケアの実践の変化を評価する。妊娠期から分娩後までの継続した骨盤底ケアの効果の検証のアウトカムとして、ケアの受け手に、助産師の実践を評価してもらう質問紙調査を実施する。 2022年度は、ケアの受け手からの評価は継続する。それに加えて、同意の得られた助産師を対象にインタビュー調査を行い、実践の振り返りと、助産ケアへの適用の促進要因と阻害要因を検討し、本研究の目的である「助産師と理学療法士の協働による妊娠期から分娩後までの継続した介入の効果を検証すること」で、周産期における尿失禁予防のための周産期骨盤底ケアプログラムの構築に繋げる予定である。
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Causes of Carryover |
未使用額が発生した状況として、予定していた研究計画から変更が生じ超音波機器の購入をしなかったことと、学術集会がすべてオンライン学会となったことにより調査・研究旅費が大幅に削減されたことが挙げられる。次年度においては、本研究における超音波機器の購入を行うため、未使用額はその経費に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)