2021 Fiscal Year Research-status Report
尿失禁予防のための周産期骨盤底ケアプログラムの開発:助産師とPTによる協働モデル
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20K10898
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
池田 真弓 帝京大学, 公私立大学の部局等, 講師 (50583001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神尾 博代 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 助教 (30289970)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 理学療法的視座 / 身体ケア / 助産実践 / 産前産後 / 骨盤底 |
Outline of Annual Research Achievements |
助産師が理学療法的視座を得て、身体ケアを助産実践に取り入れるまでのプロセスを検証することを目的に、縦断研究を行った。 【研究方法】2021年8月に、研究協力施設の助産師を対象に、「理学療法的視座を養う勉強会」を開催した。勉強会の構成は、動画視聴と対面講習の2本立てとした。動画(約10分)は、身体の構造と姿勢の関係、妊娠・出産による身体変化の影響、お腹まわりを支えるインナーユニットの機能、骨盤底筋群の働きと見方等で作成した。対面講習(90分)は、姿勢と呼吸の整え方、腹部や尾骨の触診、骨盤底筋収縮・弛緩を経腟触診で指導する方法、経腹超音波によるハンドオン演習等で、実技中心の内容とした。交代勤務をしている助産師が参加しやすいように、勉強会は同じ内容で複数回開催した。 受講した助産師の受講前後の実践の変化を検討するために、勉強会前、勉強会直後、3か月後、6か月後の4時点で、理学療法的ケアの知識、実践、ケアへの関心を質問紙にて定量的に調査した。分析方法は、反復測定による一元配置分散分析、Bonferroni法による多重比較を行い、実践と知識・関心との関連はPearsonの積率相関係数を行った。自由記載は質的に分析した。本研究は、帝京大学医学系研究倫理委員会の承認後に実施した。 【研究結果】勉強会後に、ケアの実践(F=7.789,p<0.01)と知識(F=18.937,p<0.01)が上昇しており、6か月後が実践・知識ともに最も高かった(p<0.05)。指導方法のレパートリーも増えていたが有意差はなく、「指導にかける時間の確保が困難」等、実践における課題も抽出された。ケアへの関心は勉強会前が最も高く、4時点に差はみられなかった。知識と実践の間に強い正の相関がみられた(r=0.846~0.954,p<0.01)。知識は6か月後も維持されており、実践との関連が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、妊娠期から分娩後までの継続した介入プログラムを実施し、プログラムを受けない対照群を置いて両者を比較をする2群比較の介入研究であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で妊婦さんへの直接的な介入ができなくなった為、当初の研究計画から大幅な見直しが必要となり初年度(2020年度)に計画の修正を行った。 その後研究協力施設のご協力のもと、2021年度は修正した計画通りに進捗し、現在も順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
助産師が理学療法的視座を得て身体ケアを助産実践に取り入れるまでのプロセスを検証することを目的とした縦断研究では、勉強会後1年までを追跡し最後にインタビューを行う計画で倫理審査の承認を得ている。したがって今後は2022年8月に1年後の質問紙調査と、同意を得られた助産師を対象に、インタビュー調査を実施し、実践の振り返りと助産ケアへの適応における促進要因と阻害要因を検討する予定である。 また、ケアの受け手である産後1か月健診に来院した女性への質問紙調査を2021年8月から継続している。2021年度は引き続きデータ収集を行い、尿失禁や腰痛など妊娠期から産後期の身体症状の困りごとの実態を明らかにするとともに、助産師の実践に対するケアの受け手からの評価に焦点を当てて分析する予定である。
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Causes of Carryover |
2022年1~3月の研究活動において若干の予算オーバーが予測され、2021年12月に2022年度の予算の前倒し申請を行ったが、結果的に年明けの新型コロナウイルス感染拡大の影響で研究施設への立ち入りができなくなり、2022年1~3月に予定していた計画が遂行できなかったため、次年度使用額が生じた。2022年4月以降は再度研究施設への立ち入りが可能となったため、現在は予定通り進められている。当該助成金は専門的知識の提供への謝金や人件費に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)