2022 Fiscal Year Research-status Report
ウエラブルデバイスを用いた周産期の不眠実態の解明と睡眠介入プログラムの作成
Project/Area Number |
20K10905
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菊地 紗耶 東北大学, 大学病院, 講師 (40455837)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 睡眠障害 / 周産期メンタルヘルス / 認知行動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では妊娠中の不眠の実態把握として、東北大学メディカル・メガバンク事業における三世代コホートおよびそのアドオンコホートの結果から、妊娠中の睡眠が妊娠中及び産後のうつ症状に与える影響及び児の出生転帰に与える影響について検討することとしている。三世代コホートにおける同課題については約2万人の対象者に関するデータベースを作成し、解析中である。アドオンコホートにおける同課題については、経産婦175人を対象に、ウエラブルモーションセンサーによる体動の計測に基づいて総睡眠時間と各睡眠深度(覚醒/浅睡眠/深睡眠)の時間を推算し、睡眠ログにより中途覚醒回数、入眠障害と熟眠感の有無を聴取した。妊娠中期、後期、産後1、2、3、4、6、8週時にエジンバラ産後うつ病自己質問票(EPDS)を実施した。産後1週における睡眠時間は4.3時間であり、その他のいずれの時期に比べても有意に睡眠時間が短く、例えば妊娠中期の睡眠時間(6.8時間)に比べ2.6時間と少なく、その割合は63.2%であった。混合軌跡モデリングを用いて周産期を通した睡眠時間の変動をパターン化すると2群に分かれるが、短時間群では、産後1週間における睡眠時間は3.7時間であることが明らかになった。もともと睡眠時間が短い人は周産期に顕著な睡眠不足となり、抑うつのリスクが有意に高いことが示唆され、睡眠の管理に留意する必要があることが示唆される。これらの知見を下に、妊娠中または妊娠を考えている女性に対する睡眠介入プログラムを作成し、次年度より実施する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染症の影響で、診療以外の業務への支障が生じ、研究に大幅な遅延が生じた。共同研究者とはオンラインを通じたミーティングを重ね、データベース化を推進するよう体制を構築した。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在構築中のデータベースの解析を行い、妊娠中の睡眠が妊娠中及び産後のうつ症状に与える影響及び出生転帰に与える影響を明らかにする予定である。
アドオンコホートで得られた知見を下に、妊娠中または妊娠を考えている女性に対する睡眠介入プログラムを作成し、次年度より実施する予定である。
|
Causes of Carryover |
新型コロナ感染症拡大の影響で、予定していた学会や研修会が延期またはオンラインでの開催となり、旅費が発生しなかった。研究の遅延により、介入研究に使 用する機器類を2022年度に購入することとなったため、物品費に未使用額が生じた。 次年度は感染状況を見ながら学会や研修会への参加、介入プログラムに使用する機器類の購入および人件費の支出を予定している。
|