2020 Fiscal Year Research-status Report
父親になる男性の養育ホルモン(オキシトシン)の変動およびその役割の解明
Project/Area Number |
20K10906
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
南 香奈 金沢大学, 保健学系, 助教 (30819389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 知陽 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任准教授 (00523490)
東田 陽博 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任教授 (30093066)
鏡 真美 (関塚真美) 金沢大学, 保健学系, 准教授 (60334786)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 父親 / オキシトシン / 養育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、父親になる過程において男性の唾液中オキシトシンおよびテストステロンの濃度変化を経時的に調査し、内分泌学的な変化の詳細と、その影響因子を解明することを目的とする。また、近年増加する父親の産後うつ病のバイオマーカーとしての可能性を検証する。非侵襲的な唾液を用いた評価を行うことで、医療介入を必要としないスクリーニングシステム構築を目指す。これにより、医療機関に受診機会のない父親も、自宅でのスクリーニングが可能となることが期待される。 2020年度は、コントロールとして、良好な妊娠・分娩・産褥経過を辿った1名の母親(経産婦)に対し、妊娠、分娩、授乳、子どもとの接触の有無による唾液オキシトシンの変動を検証した。また同時に血液サンプルも採取し、唾液中オキシトシンと血液中オキシトシンとの相関を明らかにした(r = 0.511, p < 0.001)。 また、新型コロナウイルス感染症拡大の状況を鑑み、生体サンプルを安全に取り扱う事が出来るよう、実験環境の整備を行った。 現在は、父親になる男性1名に対してプレテストを実施しており、妻の妊娠初期から経時的に唾液オキシトシンおよびテストステロンの変動を検証する予定である。今後はその結果から、サンプル採取の方法や採取時期の選定を行っていく。 一方で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、生体サンプル採取が困難な状況であり、今後も感染の動向を注視しながら感染対策に留意した研究方法を検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、対象者より生体サンプル(唾液・血液)を採取する必要があり、現在の我が国における新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、安全なサンプルの取り扱い方法の検討、およびホルモン定量化に向けた実験環境の整備を行う必要があった。 当初は、分娩を取り扱う施設へ研究協力依頼を行う予定であったが、母子へのコロナウイルス感染症に対するリスクがあることから、リクルートが困難な状況である。感染拡大の動向を注視しながら、今後、安全性を考慮した研究方法を再検討していく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、追跡過程にある父親1名のプレテストの分析を行い、サンプル採取の方法や時期について検討を行っていく予定である。一方で、新型コロナウイルス感染症収束の見通しが立たない状況であり、サンプル採取が困難な場合は、研究方法の見直しを検討していく必要がある。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、当初予定をしていたサンプル収集が困難であり、ホルモンの定量化のためのELISA Kitの購入に至らなかった。また、当該研究において必要な消耗品は、海外で生産されているものが多く、納品への遅延が生じている状況であることから、次年度使用額が生じた。 2020年度では、安全なサンプルの取り扱いに向けた実験環境の整備、および感染対策への検討を行ったため、2021年度はその手順に則り、サンプル数を増やしていく予定である。そのため、ホルモン定量化のためのELISA Kit、および実験に必要な消耗品の購入が必要である。
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