2022 Fiscal Year Research-status Report
病院前周産期症例の安全な分娩に繋がる職種間連携システムの機能向上にむけた研究
Project/Area Number |
20K10909
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
白井 紀子 札幌医科大学, 保健医療学部, 助教 (00854093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正岡 経子 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (30326615)
林 佳子 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (50455630)
荻田 珠江 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (40506242) [Withdrawn]
前田 尚美 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (60407129)
久野 芳佳 札幌医科大学, 医学部, 助教 (20619093)
植木 瞳 札幌医科大学, 保健医療学部, 助教 (60758671)
中村 彩希子 札幌医科大学, 保健医療学部, 助手 (60832475)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 病院前周産期症例 / 分娩 / 救急搬送 / 職種間連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、病院前周産期症例の搬送の実態、救急隊と医療機関の連携の実態、関係職種の認識を調査し、分娩対応や搬送に係る一連の機能性を高める要素を明らかにすることを目的としている。 2022年度は、6地域の病院前周産期症例の搬送経験を持つ救急隊員11人のインタビューデータの分析を行っている段階である。搬送を経験した救急隊員の語りからは、通報時の情報と現場到着時の状況が変化していることへの対応の難しさ、未受診妊婦などの特殊な状況下での対応の難しさ、経験を積み重ねることが困難な希少な症例に突然当たることの緊張など様々な困難があることが明らかとなった。このような経験から、現場対応にあたる救急隊員は、個々の症例や状況によって迅速かつ臨機応変に対応する力が求められていることを認識しており、分娩に係る対応には、搬送や分娩の補助に際して、周産期医療に係る医療専門職とのタイムリーなやりとりや連携を望んでいることが明らかになった。また、ともに妊産婦の対応にあたる救急隊員間の連携の重要性や、普段から地域の周産期医療に携わる医療職者とのコミュニケーションがあることが速やかな連携の一助となることが見えてきた。 しかしながら、データの分析に時間を要しており研究の進捗に遅れが生じている。今後は、速やかに分析を深め、病院前周産期症例の搬送に係る職種の機能性を上げる要素について学会、論文等で成果を公表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
インタビュー調査のデータ数が予想より多く得られたため、丁寧に繰り返し分析を進めるのに時間を要している。データ分析に係る人員の不足への対処が困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、病院前周産期症例に係る職種の経験、搬送の実態、搬送の機能性を高める要素を救急隊員と医療職双方の視点で明らかにしたうえで、量的調査に繋げる予定である。 そのためには、データ分析を集中的に速やかに進め、次の調査の準備を行う必要がある。データの分析の精度をあげるためには研究分担者の増員、また、事務処理や文献整理に関しても必要により補助員の雇用を検討する。引き続きインタビューを実施する場合は、コロナ禍での研究推進により、Web面接によるデータ収集の実現性について可能であることがわかったため、引き続きこの手法を用いながら遠隔地の対象者からも速やかにデータが得られるようにする。研究分担者がインタビュー調査の日程を確保することが困難な場合は調査員を雇用する等の対応を行う。インタビューデータの逐語録作成については、信頼できる業者に特急便によるテープ起こしを依頼することで速やかなデータ分析に繋げる。量的調査の場合は、調査依頼の送付やデータの入力などについて外部委託することも検討する。 このような方策をとるにあたり、2023年度予算は、Webを活用するための備品・設備、謝金、人件費、量的調査に関する委託費、データ管理・消耗品類の準備が主となる予定である。
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Causes of Carryover |
2022年度は、都市部の消防本部、地方の消防本部などの搬送環境・条件に特徴がある地域約3か所で、周産期症例の受け入れを経験した助産師、医師等合計12人程度にインタビュー調査を行う予定であり、謝金と交通費、研究者の旅費等を計上していたが、データ分析に時間を要し研究の進捗が遅れている状況があったことから、次年度使用額2,088,031円が生じた。 2023年度は、現在得られたデータの分析結果により、引き続きインタビュー調査、あるいは次の段階の量的調査に移行する予定であり、Webを活用するための備品・設備、謝金、人件費、量的調査に関する外部委託費、データ管理・消耗品類の準備に重点を置く計画としている。
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