2022 Fiscal Year Research-status Report
成人学習理論に基づく父親の育児行動促進のための周産期の看護介入プログラムの開発
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20K10930
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
山口 咲奈枝 福島県立医科大学, 看護学部, 准教授 (20431637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 幸子 山形大学, 医学部, 教授 (30299789)
藤田 愛 山形大学, 医学部, 准教授 (70361269)
遠藤 由美子 琉球大学, 医学部, 教授 (90282201)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 父親 / 育児行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、成人学習理論に基づき、父親の育児行動を促進するための周産期における看護介入プログラムを開発することである。健やか親子21(第二次)において、厚生労働省は、2024年までに積極的に育児をしている父親の割合を55.5%に増加させることを評価指標として掲げ、国として父親の育児参加を推進している。父親の育児参加を促進する取り組みの1つとして、医療者は父親に向けて育児に関する保健指導を行っている。研究者はこれまでに父親の育児行動を促進することを目的とした保健教育に関する研究を実施してきた。その中で父親が育児をすることの効果を伝え、具体的な育児手技を体験することで、父親は育児に意欲的に取り組むことが明らかとなった。成人学習理論は対象の自主性と経験に働きかけることが行動変容に有用だと示している。そこで本研究では、成人学習理論に基づき、父親の自主性に働きかけること、また育児を体験する機会をふやすことで、父親の育児行動を促進する看護介入プログラムを開発することを目的とした。保健教育によって父親の育児行動が促進することで、夫婦共同の育児を実現することができる。父親が育児に参加しているほど、夫婦の出産意欲が高まり、次子の出生率が上昇することが明らかとなっていることから、本研究は少子社会の改善に寄与する研究であると考える。 2020年~2021年はCOVID-19感染拡大の影響で、病院や市町村が開催している保健教育が中止となった。そのため、父親への育児指導が十分に実施されていないことが懸念された。そこで本研究では父親への保健教育の実態調査を実施した。また、2022年には対面式の保健教育の実施を試み、父親の育児行動を促進する介入を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年は新型コロナウイルス感染症拡大によって病院や市町村で実施されていた産前教室などの集団指導が中止された。翌年度もこの傾向は続き、対面式での保健教育の実施が難しくなったことから、オンラインによる保健教育を実施する施設もみられるようになった。この状況を受けて、研究者は、コロナ禍で育児を経験した父親が、育児に関する保健教育の内容や開催方法についてどのようなニーズを持っているのか、また、どのような開催方法を希望しているのかを把握するためのアンケート調査を実施した。その結果、育児に関する保健教育に参加している父親は半数程度であったが、育児手技を体験することや産後の女性の心身の変化、新生児の生理等を知りたいと希望する父親は8割程度いることが明らかとなった。このように、保健教育のニーズがあることを再確認したため、2022年度は少人数で実施する対面式の両親学級を試みている。オンラインで実施することも検討したが、今回は育児手技を体験できるよう対面式とした。しかし、少人数制として感染拡大の防止に努めている。 このように、本研究は研究実施計画通りに研究を実施できている。したがって、本年度は研究実施計画をおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に実施した対面式の両親学級について、2023年度は開催頻度を増やして行く予定である。現在は次年度も対面式の保健教育を計画しているが、新型コロナウイルス感染拡大の状況によっては、参加人数を減らすことやオンラインで実施することも検討する必要がある。現在実施している両親学級において、参加者のニーズに合ったプログラムとなっているか検討している。参加目的に合致するプログラムにすることで、目的意識や自主性に働きかけるプログラムとしていきたい。2023年度は年間を通して両親学級を実施し、翌年度に成果報告をしたいと考える。 このように本研究は年度毎のタスクを遂行し、計画を順調に進めていることから、今後も研究実施計画通りに研究を進められると考える。
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Causes of Carryover |
今年度使用を計画していた国際学会発表のための旅費について、COVID-19によって学会開催が次年度に延期されたことなどによって次年度使用額が生じた。 次年度に国際学会での発表が予定されているため、学会発表や論文投稿の費用等、計画通りに執行する。
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Research Products
(1 results)