2021 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外線分光法を用いた新生児・乳児の音楽療法における前頭葉酸素代謝に関する分析
Project/Area Number |
20K10932
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
市川 元基 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (60223088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平林 優子 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (50228813)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 新生児 / 音楽療法 / 近赤外線分光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
信州大学医学部附属病院産科婦人科病棟において生後1週間以内の早期新生児2例に対して音楽療法を行うための予備実験を行った。大脳前頭葉の活性化については近赤外線分光装置(NIRO200-NX:浜松ホトニクス製)を用いて音楽療法前・中・後の酸素化ヘモグロビン、脱酸素化ヘモグロビン、総ヘモグロビン濃度を測定した。2名の新生児を出産した母親に対して音楽を新生児に聴かせることによって新生児の脳の活性化を測定する予備実験を行いたいことを説明して了承を得た。生後4日目の新生児の前頭部(脳波電極の10ー20法による電極配置の前頭極にあたるFp1、Fp2の部位)にNIRO200-NXのセンサーを装着し、同時にパルスオキシメーターのセンサーを足に装着した。新生児に聴かせる音楽は日本子守歌協会の「ねんねんころりよ」とし、骨伝導イヤホンを新生児の両耳付近に装着した。子守歌聴取前2分間、子守歌聴取2分間、子守歌聴取後2分間、計6分間新生児の前部前頭葉(Fp1、Fp2の部位)の活性化を観察した。子守歌聴取前に比べて子守歌聴取開始後徐々に酸素化ヘモグロビン濃度の上昇、脱酸素化ヘモグロビン濃度の低下がみられ、子守歌聴取後徐々に子守歌聴取前の濃度に戻った。左右差はみられなかった。パルスオキシメーターによる酸素飽和度には変化がみられなかった。子守歌聴取前、中、後の脈拍数の平均値には有意差はみられなかった。2名の新生児は同じ傾向を示した。今回の予備実験により、早期新生児において子守歌聴取により大脳前部前頭葉の活性化がみられる可能性が示唆された。また本実験を安全に行うことができることもわかった。
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