成人移行期の小児がん経験者の健康管理と社会生活の自立を支える看護実践モデルの構築

2021 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 20K10933
• Research Institution: Hamamatsu University School of Medicine
• Principal Investigator: 宮城島 恭子 浜松医科大学, 医学部, 講師 (60345832)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 市江 和子 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (00279994) ; 坂口 公祥 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (00402280) ; 加藤 由香 地方独立行政法人静岡県立病院機構静岡県立こども病院(臨床研究室), 臨床研究室, がん化学療法看護係長 (60835742)
• Project Period (FY): 2020-04-01 – 2024-03-31
• Keywords: 小児がん経験者 / 自立/自律 / 成人移行期 / 健康管理 / 社会生活 / 看護

Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、思春期から成人期への移行過程において、小児がん経験者が健康管理と社会生活を両立し自立に向かうことを支えるための親子双方への看護実践モデルを構築することである。
2021年度は、2019年度までの研究で明らかにした「小児がん経験者が健康管理と社会生活を両立し自立に向かうプロセス」「小児がん経験者が健康管理と社会生活を両立し自立に向かうことを親が支えていくプロセス」のモデルの有用性（妥当性と活用可能性）の検討を行うため、小児がん拠点病院・小児がん連携病院に勤務する多職種を対象に、質問紙調査を行なった。具体的には、２つのプロセスモデルを資料として提示し、多職種が援助した小児がん経験者と親への適合性や、小児がん経験者と親の経験を理解することや支援などへの活用可能性等について、医師・看護師・心理士・ソーシャルワーカー等を対象に調査した。概要を分析し、概ね適合性があること、限定的な活用可能性、提示方法の課題などが明らかとなった。2022年度の学会発表のための演題登録中である。
今後、第２段階の調査として、質問紙調査の協力者の中から同意が得られた専門職を対象に、オンライン面接調査を実施する予定である。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

初年度の2020年度より、プロセスモデルの有用性検討のための調査計画書類の作成に時間を要し、倫理審査への申請が予定より遅れた。また、計画の変更が発生したり、複数機関の倫理審査で承認を得たりするために時間を要し、2021年度の調査開始時期も予定より遅れた。
第2段階調査の面接調査のリクルートは、第1段階の質問紙調査の協力者の意向状況を把握していることや、オンライン実施することから、効率的にできることが予測される。

Strategy for Future Research Activity

プロセスモデルの有用性検討の第２段階調査として、第１段階の質問紙調査に協力が得られた小児がん拠点・連携病院に勤務する専門職のうち、面接調査への同意が得られた方へオンライン面接調査を行なう。専門職への調査結果を踏まえて、プロセスモデルの修正や提示方法の工夫、援助を組み入れたモデルを検討する。
また、専門職への調査結果のうち小児がん経験者や親への適合可能性の結果や、臨床的課題を踏まえて、背景の異なる小児がん経験者についても、健康管理と社会生活の両立や自立について調査しプロセスを明らかにする。親が支えていくプロセスについても、子どもである小児がん経験者の条件を広げて明らかにする。そして、既存モデルとの相違性・共通性、対象特性の幅を踏まえた援助の検討を行なう。
これらを踏まえて、発展的なモデルの提示（容易に理解でき応用性が高い簡略版、対象特性の幅や支援策との一体化を考慮した詳細版）、専門職における活用について検討していく予定である。

Causes of Carryover

2020年度の調査実施が遅れたため、調査やデータ整理に必要な経費の執行がなされず、繰り越された。2021年度の調査実施に伴い、印刷費・封筒などの文具費・通信費・パソコン購入費などが執行されたが、コロナ禍のため、調査依頼や打ち合わせ、学会参加では旅費が使用されなかった。そのため、前年度の未使用額と合わせて、未使用額が発生し、次年度使用額が生じた。