2022 Fiscal Year Research-status Report
流死産から始めるケアシステムの構築~悲嘆過程から育児期を支える継続支援~
Project/Area Number |
20K10936
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
片岡 久美恵 岡山大学, 保健学域, 准教授 (20613780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中塚 幹也 岡山大学, 保健学域, 教授 (40273990)
井田 歩美 摂南大学, 看護学部, 教授 (70549203)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 不育症 / ピア・カウンセリング / 精神的支援 / 情報提供 / 流産 / 死産 / グリーフケア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,不育症女性が流死産から次子の子育てに至るまでのケア・ニーズを明らかにし,周産期の悲嘆過程に沿った継続したケアシステムを構築することである。 本年度は育児中に流死産した母親の体験と上の子との関わりを明らかにした上で,母親への支援を検討することを目的とした。そのため,育児中に流死産した母親3名を対象とし,半構造的面接を実施した。インタビュー内容から逐語録を作成後,質的帰納的に分析した。その結果,育児中に流死産した母親は,流死産が上の子に与える影響を配慮して上の子と関わっていた。また,母子ともに悲嘆反応が生じている中で,母親は自身と上の子のグリーフワークの両方に取り組んでおり,上の子と共に悲嘆過程を歩んでいたが,その対応には不安や迷いが生じていた。そして,流死産後の母親へ生活面や精神面の支援ができる存在がいない場合には,母親は孤立し,育児そのものに支障がでることもあった。また,育児中であることの特徴として,ママ友との関わりに大きなストレスを感じていたことも明らかとなった。これらのことから,ケア提供者は,流死産を体験した子どもとの関わり方について情報を提供したり,不安や悩み等の相談窓口を知らせたりすることが必要であることが明らかとなった。さらに,利用可能なソーシャルサポートにつなぐなど地域と連携し継続した支援が求められていた。また,ママ友を含めた周囲の人々との関わり方に関する情報提供なども求められていた。流死産の経験から生活面・精神面を支え,母子ともに円滑な悲嘆過程を歩むことができるよう支援していく必要があることが示唆された。 次年度は,臨床におけるグリーフケアの実態について全国調査を実施し,現状を明らかにしたうえで今後の課題を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学教員のマンパワー不足等による業務の増大により,研究活動に費やす時間の確保ができなかったことが主な理由である。 コロナ禍おいて,他機関における情報交換の場の設定が困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度中に研究計画を進めるべく倫理申請を行い承認を得ることができたので,今後は調査を開始し分析を進める。 大学教員のマンパワー不足等により研究活動に費やす時間の確保が困難であることに対しては,周囲の協力を得られるように努める。 研究目的を理解し,ともに研究を推進することができる研究分担者を確保することとする。
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Causes of Carryover |
全国の産婦人科施設におけるグリーフケアの実態調査が実施できなかったため,次年度使用額が生じてしまったが次年度は実施予定である。
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Research Products
(3 results)