2023 Fiscal Year Research-status Report
流死産から始めるケアシステムの構築~悲嘆過程から育児期を支える継続支援~
Project/Area Number |
20K10936
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
片岡 久美恵 岡山大学, 保健学域, 准教授 (20613780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中塚 幹也 岡山大学, 保健学域, 教授 (40273990)
井田 歩美 摂南大学, 看護学部, 教授 (70549203)
高尾 緑 新見公立大学, 健康科学部, 助教 (40910831)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 流産 / 死産 / グリーフケア / 継続ケア / ピア・サポート / 精神的支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、臨床における流産・死産に関するグリーフケアの実態について全国調査を実施し、現状を明らかにしたうえで今後の課題を検討した。 全国の産科医療保障制度に登録している3,140施設に協力を依頼し、研究承諾の得られた施設へGoogleフォームにて回答を依頼した。実施状況については先行研究等をもとに、グリーフケア36項目をあげ、その実施の有無を問うこととした。またグリーフケアの実施状況について必要性の認識や流産・死産による違いについて検討した。なお、本研究は、岡山大学臨床研究審査専門委員会の承認を得て実施した (研2303-033)。 回答のあった329施設のうち、同意が確認できた313施設を分析対象とした。グリーフケアは、死産においては全施設で行われていた。しかし、流産となると129施設(41.2%)という実施状況であった。また、各項目の実施状況を流産と死産で比較したところ、全ての項目で流産の方が低率であった。グリーフケアの必要性の認識では、流産で必要性を強く認識している施設は7割であった。必要性の認識は、分娩件数等の背景に左右されず、必要性を強く認識している施設での実施ケア項目数は有意に多かった。さらに、継続ケアについてみると、流産では死産と比較して、その必要性の認識が低い結果となり、施設間で認識に差が生じていた。 今後は、流産におけるグリーフケアを充実させていく必要がある。グリーフケアの必要性の認識では、流産の認識は低く、認識の差がケア実施にも影響を与えていることが示唆された。死産のみでなく流産のグリーフケアを充実のため、講演会等により知識を修得する機会を増やすことや、施設を超えての情報共有で学びを深めることも必要である。また、医療施設から地域において切れることなく情報提供や共有ができるような双方向のシステムづくりが望まれる。それが、実現することで、流死産におけるグリーフケアが継続して実践できると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学教員のマンパワー不足等による業務の増大により,研究活動に費やす時間の確保ができなかったことが主な理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
大学教員のマンパワー不足等により研究活動に費やす時間の確保が困難であることに対しては,周囲の協力を得られるように努める。 研究目的を理解し,ともに研究を推進することができる研究分担者を確保し、収集したデータを分析し、継続支援が実現できるケアシステムを検討する。 その結果から、現在、連携している施設等と話し合い機会を設け、デスカッションを進めていく。
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Causes of Carryover |
コロナ感染予防の観点から、ピア・カウンセリングの実施や連携のための会議開催が困難であったため、人件費等が発生せず、次年度に使用が生じた。 次年度に、連携会議を実施し、その会議内での話し合いの内容をグループ・インタビューとして分析する計画である。
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