2022 Fiscal Year Annual Research Report
重症心身障害児(者)における皮膚温による情動反応の評価法開発
Project/Area Number |
20K10950
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
池田 友美 摂南大学, 看護学部, 教授 (70434959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 佳奈美 摂南大学, 看護学部, 教授 (30252703)
宮本 征一 摂南大学, 理工学部, 教授 (80273316)
鯵坂 誠之 大阪公立大学工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60634491)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 鼻部皮膚温 / 重症心身障害児 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、接触型の温度センサーと非接触型サーモグラフィを用いた方法による鼻部と前額部の皮膚温が、人の情動反応の測定に利用できることに着目し、重症心身障害児(者)[重症児者]への適応を検証することを目的としている。 重症児者への適応を検証するためには、健常者の鼻部皮膚温が人の情動反応測定に利用できることを実証する必要がある。そのため、恒温恒湿室(2m×3m)を使用して実験を行った。その結果、8名の被験者の接触型の温度センサーと非接触型サーモグラフィそれぞれの前額部と鼻先の温度差の相関係数は0.25~0.91であり、統計学的に有意であった。このことより、非接触温度計測は、情動反応の把握に利用できる可能性が示唆された。一方で、刺激により前額部と鼻先の温度差が増加する被験者、刺激終了後に温度差が増加する被験者、温度差が変化しない被験者が混在していた。 このように刺激に対する反応の個人差が大きいことから、非接触型サーモグラフィを用いた方法での情動反応の把握を目指す計画を修正し、健常者の鼻部皮膚温のエビデンスの蓄積を行っている。その中で「重症児者と健常者では刺激に対する温度変化が異なる可能性があること」「幼児期、学童期のデータが取れていないこと」「実験室での結果が日常生活で汎用できるか確認する必要がある」以上大きく3点が課題として挙げられた。 子どもの皮膚温については、脳の脆弱性から大人と異なった反応を起こすとの報告もあり、皮膚温で重症児者の情動反応を把握するためには、低年齢の健常児との比較が必然となる。また、今後、重症児者の情動反応を皮膚温を用いて把握することを試みるためには、実験室での結果だけでなく、日常生活において実証することも重要な課題である。引き続き科研が採択されたため、現在の実験環境と同じ環境での実験の継続および、日常生活における実証化を目指す。
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