2022 Fiscal Year Research-status Report
地域包括ケアシステムにおける「地域の保健室」の機能・役割分析と協働モデルの構築
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20K10978
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Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
聲高 英代 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 助教 (10835557)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
合田 加代子 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (20353146)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地域の保健室 / 暮らしの保健室 / まちの保健室 / 通いの場 / 地域包括ケアシステム / 多職種連携 / 公衆衛生看護 / 介護予防事業 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、全国の「地域の保健室」の実態把握を目的に、先駆的に行政や地域の多機関と連携している「地域の保健室」の管理者に対して、インタビューを実施した。対象保健室は9か所でその内訳は、「暮らしの保健室」として開設した常設の保健室3か所、飲食店として開設し住民の居場所と専門職による健康相談の機能を持つ保健室が2か所、定期的に娯楽施設で健康相談を行う形式の保健室が2か所、有料の文化教室の利用者を対象に健康と生活面の支援を行う形式の保健室が1か所、障害者施設を開放し住民の居場所としている保健室が1か所であった。インタビューの内容は、①保健室の開設経緯、②保健室の運営および活動概要、③行政と連携した活動および事業、④地域包括ケアシステムにおける保健室の役割と課題である。インタビューの結果、保健師や訪問看護師、コミュニティナース、社会福祉士等様々な専門職により地域住民の交流と介護予防の取り組みがなされ、いずれも利用する地域住民にとって地域の重要な居場所としての役割をもっていることがわかった。一方で行政の保健・介護部門と連携した事業を実施している保健室は未だ多くないことがうかがえた。 「地域の保健室」の利用者には、家族との近居のために転居してきた高齢者が増えてきていることから、世代間居住距離を踏まえた高齢者への健康面からのアプローチについて課題を明らかにすることを目的に文献研究を行った。その結果、近居による世代間訪問に止まらず友人や趣味目的の外出を増やすなど自立と依存のバランスを保つアプローチが必要であることが明らかになった。この研究は、甲南女子大学研究紀要II第17号P7-14(2023年3月発行)に「日本の高齢者における近居と世代間支援及び健康との関連に関する文献レビュー」として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究開始の2020年度よりCovid-19の継続的な流行があり、現地視察を伴う面接調査の開始が困難となり、計画に遅れが生じた。2022年度に調査方法を工夫し面接調査を実施した。2023年度まで研究期間を延長し、次段階の調査の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度までの文献研究および面接調査により、「地域の保健室」は地域に様々な形で存在する介護予防機能を持つ場であり、地域住民にとっての重要な居場所として位置づけられていることがわかった。また、行政および多機関との連携の形は多様であることが明らかになり、地域性や運営主体、活動内容により連携の深さや課題に違いが生じると考えられた。2023年度は、地域住民の交流や介護予防を目的とした活動を行う「地域の保健室」や通いの場等と行政の保健・介護部門および多機関との具体的な連携を明らかにするため、特定の小地域の実態の調査、分析を行う。特定小地域の「地域の保健室」や通いの場等の管理者を対象に、活動内容、行政の保健・介護部門との具体的な連携内容、地域の多機関との具体的な連携内容、活動上の課題、従事者が捉えた住民のニーズを質問紙により調査する。対象地域の実態から、小地域の地域包括ケアシステムにおける「地域の保健室」等介護予防機能を持つ場と行政および地域の多機関との協働モデルの構築を進めていく。
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Causes of Carryover |
Covid-19の継続的流行のため2021年度に実施予定であった面接調査が2022年度に変更となり、2022年度に実施予定であった調査が2023年度に変更となった。そのため執行が移行し、2023年度において使用額が生じた。2023年度は質問紙調査を実施し執行予定である。
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Research Products
(1 results)