2021 Fiscal Year Research-status Report
地域包括ケアシステムのもとでの在宅災害看護理論の構築に向けた基礎的研究
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20K11008
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Research Institution | Gifu University Of Health Science |
Principal Investigator |
畑 吉節未 岐阜保健大学, 大学院 看護学研究科, 教授 (10530305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑 正夫 兵庫県立大学, 地域創造機構, 教授 (40596045)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 災害看護理論 / 在宅災害看護 / 地域包括ケアシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
1.災害時の健康危機状況に対処する実践的な活動を支えるための理論化を図るため、健康問題を含め複雑(complex)な課題に対応する手法であるシステム・アプローチ(systems approach)をもとに、WHO(2019)が提示する「Health EDRM」(health Emergency and Disaster Risk Management)の枠組みを手かがりに検討を進めた。 2.災害時の個別イベントだけでとらえず、リスクベースでとらえる必要性は、研究者らが既往研究で焦点を当て明らかにしてきた成果と軌を一にする。オールハザードを前提とした備えと対応が可能になるように、原子力災害、豪雨災害、雪害に検討対象を拡大し、インタビューを行い、得られた語りからリスク場面とその対処行動の抽出を図った。 3.また、住民、コミュニティと協働する包括的なアプローチの重要性の認識のもと、在宅療養者を支える互助と共助の現状を明らかにするため、住民主体の防災・減災コミュニティ活動への参加観察をもとに、コミュニティによる在宅療養者への支援の可能性とその課題について検討を行った。 4.同時並行で実施した新型コロナウイルス感染が拡大するなかでの訪問看護ステーションの対応と課題に関する調査(2020)の結果をもとに、健康危機状況下での訪問看護ステーションの看護実践行動と、療養者・家族が受けた影響について、分析を行い、これまでの災害の語りと比較し、リスクマネジメントのあり方について検討を行った。 5.以上、理論構築のための基盤を基本データの収集、及び意味づけにより行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で実施できず、先延ばしたデータ収集の手続きを行うことができたため、当初の計画どおりの進捗が可能になった。 具体的には、①インタビュー等が困難だった2021年度とは異なり、在宅看護に携わる関係者の研究への理解と協力を得ることができる環境が整ったこと ②遠隔医療の進展に伴いリモートによるインタビューに抵抗感が少なくなったこと ③コミュニティが行う防災・減災活動も感染予防対策のもと活動を再開され参加観察などによるデータ収集が可能になったこと、が主な要因として上げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたデータをもとに、在宅災害看護のための理論構築を進める。そのため、①在宅看護における既存理論の適用について、当該理論が開発・適用されてきた背景を考慮しながら、災害時への適応可能性を検討する。災害時特有の在宅看護行動のなかで、既存理論の適用が難しい領域を探索し、その補完に取り組む。その際、システム・アプローチを念頭に、在宅看護だけでなく、他の専門領域が用いる理論も含めて適用可能性の検討を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍における移動制限の影響で、被災地を訪問をして現地の訪問看護ステーションの管理者や療養者など多様な主体と意見交換をするための旅費や、災害研究の専門家との対面での意見交換に要する旅費の執行ができなかった。 このため、今年度はこうした機会を積極的に設け、リアリティの高い在宅災害看護実践行動を理論構築に生かしていく予定である。
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