2021 Fiscal Year Research-status Report
一人暮しの高齢進行がん患者が外来がん化学療法をうけがんと共に暮らすということ
Project/Area Number |
20K11012
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
杉山 令子 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (80312718)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 順子 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (30469423)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | がん患者 / 高齢者 / 一人暮らし / 外来がん化学療法 / 暮らし / 独居 / 進行がん |
Outline of Annual Research Achievements |
独居65歳以上、進行がんで外来がん化学療法中の参加者に半構造化面接を行った。 参加者は男性7名、女性5名、平均74歳であった。婚姻歴有8名、独居期間3か月~50年、手術経験有9名、PS0~1が7名、外来治療期間1~40カ月、面接時間平均44分だった。分析の結果9カテゴリー【】、49サブカテゴリー〈〉を得た。ストーリーラインを以下に示す。 彼らは常に【高齢と独居ゆえのゆとりと心細さがある】状況でありながら、【人に迷惑をかけない矜持と共に生きている】ことを信念として過ごしていた。そのため、緊急時にも迷惑をかけないよう【いざという時のために備える】ようにしていた。しかし心は、病の脅威や症状の辛さや不安、やりたいことができなくなることでも落ち込み【心は絶望側に傾斜している】状況と、がんと同居するのは運命だから【仕方ないとこれまでの日常を続けることで心が前を向く】状況とを行ったり来たりしていた。そのうちに、意識的・無意識に〈生かされるところまでは生きようと思う〉など自分を支え導く力が内から湧き【最期を生きていくための内なる力に動かされる】ようになっていた。彼らは、先は長くはないことを時々に認識しながらも、それぞれが希望するレベルの「生きるため」に後悔しない医療を求め、治療の内容も辞め時もお任せする【自分に最適な医療を施してくれるとその医師を信じ「生きるため」の治療を委ねる】意志を持っていた。彼らの日常は〈生活を回せるかは、がん・副作用の症状が落ち着いていて動けるかどうかがものをいう〉など【身体状況と得られるヒト・モノ・カネによって生活の辛苦の程度が一変する】状況で、〈加齢と治療による衰弱や体調の変化を感じながら過ごす〉日々であるが、それでもできるだけ人に迷惑をかけない信念を貫き、【あと少し命を永らえ人生を全うするために脆くなりゆく「私の器」の中で我慢とやりくりして過ごす】ものであった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19感染拡大のため、調査に変更や遅延が生じた。 当初のデータ収集計画では、参加者(患者)宅へ訪問し、病院で点滴治療中もそばで観察するなどの参加観察を計画していた。しかし、感染予防策のために実現不可能となり、やむをえず参加観察は断念した。コロナ禍となり、予定協力施設から受け入れ拒否となったり、協力施設においてもコロナ感染者が出ることにより外来部門閉鎖となったり、参加者に発熱症状がある際は感染予防策のため面談中止となったりと、面接調査の対象となる参加者を得ることも困難であった。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は、研究結果の学会発表を行い、論文作成を行う。論文作成にあたっては、共同研究者と検討し、有識者に助言を得ながら進めることとする。
|
Causes of Carryover |
COVID-19感染拡大のため、調査に変更や遅延が生じたため、データ分析が遅れ、学会発表や、論文作成などについても、遅れが生じたため。 次年度は、学会発表、論文作成、有識者からの助言などを受けるための資金として、使用する予定である。
|