2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of a restraints free program for patients regarding improvement of staff motivation, volition, and performance to care
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20K11015
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
加藤 真由美 金沢大学, 保健学系, 教授 (20293350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
油野 規代 公立小松大学, 保健医療学部, 講師 (10827108)
正源寺 美穂 金沢大学, 保健学系, 准教授 (80345636)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 身体拘束 / 転倒予防 / 動機 / 意欲 / パフォーマンス理論 / 自己効力感 / バランス / プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は「動機,意欲,パフォーマンス(MVP)理論」(Keller,2009)を基盤とした,在宅復帰支援病棟における身体拘束回避・解除のためのプログラムを構築することである。 MVP理論における「ARCS拡張モデル」を基盤に,自己効力感理論と今までの調査研究成果および先行研究(PRISMAによるレビューを実施)を基に,拘束回避・解除のための看護師教育を含むプログラムの構築と実施の進め方案を作成した。 後ろ向き調査(分析対象者379人)において拘束の実施要因(2項ロジスティック回帰分析)は,「排泄」オッズ比1.993(95%信頼区間1.100-3.613・p=0.023)と「(看護師が判断する)患者の特徴」1.498(1.081-2.075・p=0.015)が示された。「転倒経験」1.482(0.532-4.126・p=0.452)と「入院後の転倒発生」0.230(0.033-1.577・p=0.135)は拘束実施の要因と予測していたが否定された。一方で「転倒経験」3.570(1.257-10.139・p=0.017)と「患者の特徴」1.858(1.240-2.785・p=0.003)は転倒要因として示された。以上のことから,看護師が判断する患者の特徴は転倒リスクの高い患者であり,そのため拘束が実施されていると示唆された。「排泄」と共に看護師が判断する患者の特徴に対する転倒予防ケアをプログラム内に含める必要が明らかとなった。 拘束回避・解除とその状態を維持するために,期待感や個人的価値形成を包含した「動機づけ・学習・パフォーマンス・態度に影響を持つ心理特性」として<看護師の意識変革の支援(動機づくり等)>,および「行動に影響を及ぼす環境要因」として<組織的支援(拘束しない環境づくり)>と<看護師への支援(拘束の代替えケア方法提供等)>をプログラムの枠組みとして設けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
主な拘束実施理由に転倒の予防があるが,転倒につながるバランス不良とはどのような状態なのか熟練の看護師であっても捉えることに限界感をもっていることが今までの研究成果から明らかになっている。よってプログラムの完成には,高齢者における転倒につながるバランス能力を言語化する必要がある。そうできなければ,転倒を理由にした身体拘束を回避・解除するのは難しい。高齢者を研究対象者にした転倒に係るバランス能力に関する研究計画を立案し,現在倫理審査を受けている。この研究成果は,「看護師への支援」における〈拘束を行なう理由(原因)を低減するケアが実施できる支援〉と〈身体拘束の代替えとなるケアの知識・技術がもてる支援〉に組み込まれる。 COVID-19の影響により調査協力の内諾を得るのに期間を要し,倫理審査申請が遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
バランス能力に関する調査は,倫理審査委員会から承認が得られると予測される夏季期間に行う。調査では既に関係機関・関係者から内諾を得ており,準備状態は良好である。その後,バランス能力の調査研究の成果をプログラムに組み込み,プログラムを完成させ,看護師長や病棟看護師からプログラムの妥当性や実行可能性の確認を行い,必要時修正を行う。このことについても,幾つかの病院の看護部長から研究協力の内諾を得ている。
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Causes of Carryover |
2023年度に看護師長や看護師から妥当性や実行可能性を確認したプログラムを,2024年度に介入研究として病棟に導入し,その有効性を検証すると共に課題がないか確認をする必要がある。有効性のアウトカムは身体拘束回避・解除の実施率や拘束実施者である病棟看護師の拘束をしないケアに対する自己効力感の変化であり,開発した日本語版看護師の自己効力感尺度を用いて測定する。検証の後に課題があれば修正し,プログラムを完成させ,公表する。
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Research Products
(10 results)