2022 Fiscal Year Research-status Report
第3の転倒予防因子「視機能」を活用したビジョントレーニングによる転倒予防戦略
Project/Area Number |
20K11035
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Research Institution | Seijoh University |
Principal Investigator |
山田 和政 星城大学, リハビリテーション学部, 教授 (20367866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 公宣 星城大学, リハビリテーション学部, 教授 (30460629)
越智 亮 星城大学, リハビリテーション学部, 准教授 (60410891)
木村 大介 関西医療大学, 保健医療学部, 教授 (90513747)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 転倒予防 / 視機能 / ステップ動作 / ビジョントレーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,身体機能,認知機能に次ぐ第三の転倒予防因子と考える「視機能」に着目し,つまずきによる転倒をより確実に回避できる「ステップ動作(素早く足を一歩前に踏み出す動作)」を獲得するための動体視力や深視力の強化を図る「ビジョントレーニングによる転倒予防戦略」を立案・実践し,転倒者数の減少に寄与できるかの検証を目的としている.研究計画は4年間であり,3年目の今年度は,2年目に予定していた健常高齢者を対象としたデータを収集(取得)することができた. 65歳以上の女性20名に対し,体重の5・10・15%の3つの異なる力で誘発した前方ステップ動作中の視線の動きに加え,動体視力と深視力の2つの視機能を計測した.また,運動機能として,つまずいた際に素早く足部を前方に踏み出すための瞬発力と体重支持のための下肢筋力についてもデータ収集した. 結果,体重の5・10・15%の力で誘発した前方ステップ動作の視線が,床に着地する足部を追うように動いていた者(視線追視群)は7~8名(全体の40%以下)であり,健常若年者と比較して少なかった.他の12~13名(視線非追視群)は,前方ステップ動作の誘発と同時に足元から視界前方に視線が移動し,足部を追う動きはみられなかった.このことから,高齢者では,ステップする足部を確認することなく前方に踏み出していることが示唆された。視機能である動体視力と深視力は,若年者と比べて高齢者はいずれも低下していた.但し,高齢者におけるステップ動作中の視線の動きと視機能との関連性は明らかにできていない.視線非追視群と比較して視線追視群は,動体視力,深視力とも良好であり,運動機能である下肢筋力,瞬発力も優れていた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度(2022年度)は,昨年度(2021年度)に計画していた高齢健常者を対象としたデータを収集することができたものの,十分なデータ数ではない.今年度に計画していた視機能である動体視力および深視力の向上を図るビジョントレーニングについては,既存のビジョントレーニングアプリの活用も含めて検討している.進捗状況によっては,研究期間を1年間延長する可能性もある.
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Strategy for Future Research Activity |
速やかに高齢健常者をリクルートし,追加データの収集に取りかかる.同時に,既存のビジョントレーニングアプリの活用も含めてトレーニング内容を検討・決定し,ビジョントレーニングの実践を進めていく.
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Causes of Carryover |
参加を考えていた学会,研修会の多くがリモートもしくはハイブリッド開催であり,出張費を使用しなかった.次年度は,収集したデータの結果を学会発表できるよう準備を進め,本研究に必要な情報の収集と併せて積極的に学会・研修会に参加する.また,可能な限り論文執筆に努め,投稿・掲載に必要な経費として使用する.
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