2023 Fiscal Year Research-status Report
認知症患者へ身体拘束を回避した転倒予防ケアを行う看護師チームメンタルモデルの構築
Project/Area Number |
20K11041
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
牧野 真弓 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (50714169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 真由美 金沢大学, 保健学系, 教授 (20293350)
吉江 由加里 福井医療大学, 保健医療学部, 教授 (00723826)
松本 智里 石川県立看護大学, 看護学部, 准教授 (10738389)
正源寺 美穂 金沢大学, 保健学系, 准教授 (80345636)
泉 キヨ子 帝京科学大学, 医療科学部, 教授 (20115207) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 認知症高齢者 / 看護師 / 急性期病院 / 組織の文化 / チームメンタルモデル / 身体拘束 / 転倒予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症は世界中で5,500万人以上が罹患している。急性期医療の場で認知症高齢者に対して、医療事故を予防するために身体拘束が使用されている。しかし、身体拘束は入院中だけでなく、退院後にも認知症高齢者とその家族の双方に重大かつ持続的な悪影響を及ぼす。身体拘束を低減した入院環境の提供は、看護師の特性に依存するのではなく、組織的に取り組むべき社会的な課題である。 R5年度は、前年度に引き続きスコーピングレビューのまとめに取り組み、英文投稿を行った。入院している認知症高齢者の拘束使用低減に関連する組織的要因を報告した、英語または日本語論文を、3つのデータベースより適格基準に従い選定した。分析では、統計的に有意と報告された拘束の低下に関連する因子を抽出し、類似点と相違点に基づいて組織的枠組みに分類し、共同研究者との協議と合意を得てまとめた。 結果、16文献が適格基準を満たした。身体拘束の有病率は拘束の意味をどのように解釈するかにより、5.1~80.0%の範囲で報告されていた。拘束低減と関連する組織的要因は、拘束ガイドラインの使用、4か月以上の教育介入、認知症専用病棟の入院環境と人的資源および、拘束削減戦略(学際的アプローチ、拘束削減ケア、意思決定ツール、モニタリング)であった。 認知症高齢者の拘束を減らすためには、学際的アプローチなど、看護分野と他分野の知識を組み合わせた介入が不可欠と考えられた。急性期病院における身体拘束の低減に組織的に取り組むためには、スタッフ教育、認知症高齢者にとって望ましい刺激を調整した入院環境の整備、24時間体制の日常生活支援を提供するための人的資源および、病棟ごとに学際的な拘束削減戦略システムの整備が必要であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
英語論文を初めて投稿するため、まとめあげるのに時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、拘束低減につながる病院の環境、組織の文化やメンタルモデルについて、国内調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
申請段階では新型コロナウイルス感染症は起きていなかったため、現地で対面で情報収集を行う予定で、交通費、旅費、郵送代等を組み込んで予算を計上していた。感染症の完全収束が見い出せず、脆弱な認知症高齢者に接する看護師の調査協力への負担を考慮し、スコーピングレビューによる文献検討から、関連要因を組み立てる方法へ変更を余儀なくされた。そのため、関連文献や書籍の取り寄せ、オンライン環境の整備や勉強会への参加費用、英文校正に予算を使用した。 次年度は、アンケート調査のために費用を使用する予定。
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