2022 Fiscal Year Research-status Report
健診・医療・介護一体型ビッグデータの推移から介護予防対象者を把握する指標の探索
Project/Area Number |
20K11043
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
浜田 紀宏 鳥取大学, 医学部, 准教授 (30362883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 米厚 鳥取大学, 医学部, 教授 (00224212)
谷口 晋一 鳥取大学, 医学部, 教授 (30304207)
久留 一郎 鳥取大学, 医学部, 特任教員 (60211504)
井上 和興 鳥取大学, 医学部, プロジェクト研究員 (60739085) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | KDBデータベース / 介護予防 / 健診受診率 / 慢性腎臓病 / 低尿酸血症 / ライフスタイル / 基本チェックリスト |
Outline of Annual Research Achievements |
横断研究として、住民における腎機能低下の経年悪化と関連する要因や疾患に関して、6年間の連続する健診データを基に分析した。その結果、前期高齢者までの集団においてステージ5の末期腎不全に至る割合を同定した。これらの集団において、高血圧、糖尿病、尿蛋白±以上が腎機能の経年悪化と関連する可能性が示唆され、以上の点は、国内外の文献や慢性腎臓病治療ガイドラインに記載されている内容とおおむね合致している。さらに、生活習慣として歩行速度が遅い、就寝前に食事摂取すること、健康診断を受ける頻度が少ないこととの関連も示唆された。 また、県内のH町在住高齢者におけるフレイル、プレフレイルの割合を基本チェックリストに基づき推計した。また、標記に関する性別、年齢、地域による差異に関して検討を行う機会を得た。町内の通いの場ないしは新型コロナワクチン接種会場に参加し、基本チェックリストに回答した高齢者(65歳以上)617名のデータから年齢、性別、居住地区(番地以下を含まない)以外の個人情報を削除し、分析に用いた。その結果、町在住の高齢者の8.7%がフレイルと判定され、プレフレイルの割合は25.8%であった。年齢層が高いほど高頻度であり、女性が男性に比して高率であった。また、H町内各地区で、フレイルないしはプレフレイルと判定された高齢者の割合は大きく異なっており、H町役場からの距離が10㎞以上の地区ではより近隣の地区と比べてプレフレイルないしはフレイルの割合が大きい傾向がみられたが,人口が集中する地域であっても隣接する地区間でプレフレイル以上の高齢者の割合が高いところと低いところとが混在していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年始より本研究にかけるエフォートを増やしている。また、国民健康保険のデータベースの整備(74歳までのデータと後期高齢との突合)も進み、研究が実施できる環境が整っている。 具体的には、今まで限られた地区において種々の仮説に基づき分析を行いながら、システム構築を徐々に確立しつつある。そこで、分析の対象を鳥取県内に広げ、本研究で明らかにしたい仮説を改めて再検討し、(1)健康診断受診頻度と特に心血管疾患やがん発症との関連、(2)腎機能の経年低下や血清尿酸値(高値、低値)が疾患発症や要介護状態を助長するか、(3)健康的なライフスタイルの維持の3点に関して、それぞれ将来の疾患発症や要介護状態と関連するかを検討している。 現在、以下の内容で実施をすすめている。本研究では、鳥取県内(特に県西部)で特定健康診査および後期高齢健診、生活習慣病アンケート結果や医療費請求などを含む国保データベース(KDB)システムから得られたパラメータを用いて、被検者集団が医療や介護を必要とするかどうかをアウトカムとして予測することを目的としている。研究デザインは後ろ向きコホート研究とする。本研究では、特定健診から得られる推定糸球体濾過量(eGFR)の年間低下量、血清尿酸値、健診利用頻度などの説明変数が、様々な共変量で調整した後にアウトカムと有意に関連するかを検証する。分析手法としては、対象となる結果と関連するパラメータを特定するためにロジスティック回帰分析、対象となる結果に関連する危険因子を特定するために生存分析、などを使用する。解析は年齢、性別、併存疾患、ライフスタイル要因などの潜在的な交絡因子を調整する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、以下の3点に関して検討し、実施している。 (1)リモートワークを併用しながら共同研究者や市町村などとの連携を密にして、健診受診回数、罹患疾患の同定などの分析モデルを確立し、分析を急いでいる。 (2)基本チェックリストを後期高齢受給者から収集している他の市町村と連携して、高齢者を含む住民の健康状態の地域差を明確にする。また、市町村が有する研究ニーズを明確にして本研究が健康政策につなげ、本研究が地域に貢献することを実感できるようなモチベーション向上をはかる。 (3)文献管理・論文作成支援ソフト(EndNote、DEEPLなど)を活用しており、本研究に関連する英文献を200以上収集した。それらの文献情報を一元管理しながら迅速な執筆作業を行い、分析結果を速やかに公表できるようにしている。
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Causes of Carryover |
旅費を以前から計上していたが、コロナ禍で学術大会が概ねオンライン開催となっていたため、計上出来ていなかった。R5年度は成果発表の計画を行っており、旅費として計上する見込みである。 人件費・謝金に関しては、R4年度は大規模計算を研究代表者自身で行ったため計上はなかった。今後はデータの分析を多面的に行うため、人材の雇用を行うよう計画している。 その他に関しては、英語論文について投稿準備が完了しなかったため、投稿費用や英文校正代は計上しなかった。これもデータが完成次第速やかに投稿を行う。さらに、物品として本課題採択前から使用しているパーソナルコンピュータが劣化してきたため新規購入する予定である。
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