2020 Fiscal Year Research-status Report
訪問看護ステーションと自治体との連携を強化するための研修プログラムの開発
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20K11047
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
工藤 朋子 岩手県立大学, 看護学部, 教授 (50305265)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 訪問看護情報提供書 / 地域連携 / ケアマネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
訪問看護ステーションが市町村等からの求めに応じて、当該利用者に係る保健福祉サービスに必要な情報を提供する上での課題を明らかにするために、訪問看護情報提供書(以下、文書)の記載に関する実態調査を行った。 全国訪問看護事業協会の正会員リストから、都道府県別構成割合に準じて 2,000事業所を無作為に抽出した。訪問看護ステーションの管理者宛に質問紙を郵送し、Faxまたは Web(Google form) による回答を求めた。分析方法は、設問毎に記述統計を行い、文書を記載する上での課題は、自由記述を意味内容の類似性により分類した。 有効回答 377部を分析対象とした。訪問看護情報提供療養費 1(自治体)の算定状況(2020年4-12月)は「有」が 202(53.6%)で、内訳は「別表第7に掲げる疾病等の者」が 142(70.3%)で最も多かった。「15歳未満の小児」は小児訪問実施(n=165)のうち 88(53.3%)、「精神障害を有する者又はその家族」は精神訪問実施(n=214)のうち 104(48.6%)が算定していた。文書の記載状況は「保健福祉サービスの有無にかかわらず、支援の必要性が伝わるように記載している」が 245(65.0%)であった。自治体からの求めはないが、連携する必要性を感じている利用者・家族の状況は、多い順に難病、精神障がい、認知症、医療的ケア児であった。文書を記載する上での課題は「一方通行で活用状況がわからない」「自治体が必要性を感じていない」などが挙げられた。 算定の有無にかかわらず、事業所は連携する必要性がある利用者・家族の状況を認識していた。また、算定している事業所でも、情報提供の意義を見出せずにいる実態が浮かび上がった。訪問看護ステーションと自治体の連携を強化していくためには、自治体側の認識と照らし合わせ、双方の理解を促す場の設定等が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の実態調査は、訪問看護ステーションに負担をかけることを危惧し、当初の調査期間を変更して実施した。回収率は 2割を下回ったものの、2018年度に自治体を対象に実施した調査結果と比較検討できる貴重なデータが得られたことから、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度の研究実績(質問紙調査結果)については、看護系学会の学術集会で公表し、学会誌に投稿する予定である。 令和 3年度は、情報を提供する訪問看護ステーション、情報を受け取る自治体の双方が認識している課題を照らし合わせ、連携を強化していくための研修プログラム案を作成する。その後、専門家会議(訪問看護認定看護師、市町村直営地域包括支援センター職員等による)を開催し、訪問看護師を対象とする研修プログラム案の修正・追加を検討する。
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Causes of Carryover |
質問紙調査は当初、返信用封筒による回収を予定していた。しかし、回収率を上げるために FAX 及び Web よる回答に変更した。そのため、郵送費の切手代が計上額を下回った。 科研申請時は、令和 3年度から本学同講座の教員が研究分担者となる予定であったが、一人体制で研究を遂行することとなった。そのため、今後計画している専門家会議や研修会は運営補助者を雇用し、謝金や交通費に使用する予定である。
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