2020 Fiscal Year Research-status Report
自然災害を体験した炎症性腸疾患患者の支援モデルの開発
Project/Area Number |
20K11064
|
Research Institution | St. Mary's College |
Principal Investigator |
谷口 あけみ 聖マリア学院大学, 看護学部, 助教 (60321949)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 炎症性腸疾患 / 自然災害 / 支援モデル / 難病 / 潰瘍性大腸炎 / クローン病 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究者が実施した先行研究である『炎症性腸疾患患者が自然災害後に抱える困難とそれに対して必要な支援-熊本地震後の調査から-』において、炎症性腸疾患患者で地震3ヵ月後に原疾患の悪化がみられたのは7%であった。熊本市が一般市民2000世帯に行った調査で「震災前から持病があり悪化した」が18%であったのに対し、炎症性腸疾患患者は水やトイレ、食事に支援が必要な状況にも関わらず、多くが病状を悪化させずにコントロールできたといえる。本結果は災害時に難病患者の疾患が悪化するおそれがあることを示していると同時に、準備や対応次第で疾患を悪化させないコントロールが可能であることを示唆している。 本研究では自然災害を体験した炎症性腸疾患患者へのインタビューを通して災害の発生時期にあわせた支援モデルを作成することを目的としている。研究対象は過去10年以内に自然災害を体験し、九州または西日本に在住する潰瘍性大腸炎およびクローン病の患者15名を予定している。本研究目的を達成するため、2020年度は以下の内容で研究を実施した。 1.2020年4月に交付内定の連絡を受けた後から研究テーマの関連文献のレビューを実施し、研究者が実施した先行研究の研究結果を踏まえてインタビューガイドを作成した。 2.研究者が所属する聖マリア学院大学の倫理委員会に提出する書類を作成し、7月に倫理審査の申請を行い9月に承認を得た。 3.2020年10月に「研究対象者紹介のお願い」文書を九州IBDフォーラム事務局長にメール送信し電話でも研究対象者紹介を依頼した。口頭で快諾を得、新型コロナウイルス感染拡大状況がある程度落ち着いてから紹介いただくこととしたが感染拡大状況が続いたため研究対象者紹介は次年度に改めて依頼することとした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究者が所属する大学において感染拡大を防ぐための様々な対策を講じ(学生来学時の健康観察、講義時の消毒、演習の分割実施、演習のための動画撮影、オンライン講義準備など)、これらの教育環境整備にエフォートを割いたため、研究に取り組むエフォートが相対的に減少した。また、研究対象者を紹介してもらう予定の患者会:九州IBDフォーラムにおいて実際に集まることが困難となりオンライン役員会・患者会を実施しており、限られた時間の中で本研究について説明する時間を確保することが困難であるとの連絡を受けた。さらに、九州IBDフォーラム代表兼熊本難病・疾病団体協議会代表幹事である中山泰男氏が転居に伴い2021年1月に両団体の代表を辞任することとなり、研究対象者の選定に至らなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、インタビューを確実に進めていくために、「オンラインインタビューも含め少しずつでも実施を進めたい」と2021年3~4月にかけて研究対象者を紹介してもらう予定の患者会:九州IBDフォーラム事務局に複数回連絡した。その結果、2021年5~6月にかけて1名オンライン、2名対面でインタビューを実施することとなった。 2021年はこの3名にインタビューを実施し質的分析を進めると同時に、今年度さらに3~9名のインタビュー対象者を紹介してもらえないか、九州IBDフォーラム事務局に引き続き依頼してゆく。
|
Causes of Carryover |
2020年度は予定していたインタビューが実施できなかったためインタビューのための旅費・謝礼が発生しなかったが、今後は遅れたていたものも含めインタビューを実施し助成金を使用する予定である。また、2020年度は教育にエフォートを割いたため相対的に研究のエフォートが減少し、災害関連図書や難病関連図書の購入に至らなかったが、2021年度はこれらの図書を購入予定である。
|