2023 Fiscal Year Annual Research Report
自然災害を体験した炎症性腸疾患患者の支援モデルの開発
Project/Area Number |
20K11064
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
谷口 あけみ 帝京大学, 福岡医療技術学部, 助教 (60321949)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 炎症性腸疾患 / 自然災害 / 支援モデル / 難病 / 潰瘍性大腸炎 / クローン病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は自然災害発生後の経過に合わせた炎症性腸疾患患者(潰瘍性大腸炎とクローン病を併せて炎症性腸疾患と称する)の支援モデルを開発することを目的とした。炎症性腸疾患患者の多くは機能障害や免疫力低下があっても外見上わかりづらく常時は支援を必要としない。しかし災害時はトイレ・食事・衛生環境等のニーズを満たすことが困難な状況の中、疾患の悪化を防がなくてはならず、支援方法の確立は急務といえる。研究対象は10年以内に自然災害を体験した常時は支援を必要としない炎症性腸疾患患者6事例である。災害発生時の身体・精神・生活上の困りごとについて半構造化インタビューを実施し質的分析法であるM-GTAを用いて分析を実施した。 自然災害を経験した炎症性腸疾患患者が自己管理しながら生活を維持するプロセスでは、まず災害前に〈自宅外におけるトイレ確保困難感〉〈日頃から病気への対応が必要〉〈感染対策の必要性の自覚〉といった”気づき”が【日頃から日常生活を維持する努力】の”行動”としての〈ピアや専門職から情報収集〉〈体調把握、持病を悪化させない予防的行動〉〈災害前に備蓄〉に影響し”新たな状況”や”新たな気づき”である〈備蓄による安心感〉〈病気と折り合いをつける〉〈災害対策の必要性の自覚〉が生まれていた。また災害発生時に【災害発生後に日常生活を維持する努力】の”行動”として〈災害時対応の選択〉〈自宅で被災生活〉を行いつつ【日頃から日常生活を維持する努力】の”行動”を継続することで〈公助への期待と葛藤〉という”新たな気づき”が生まれるも〈支援する側へ転換〉という”さらなる行動”につながっていた。さらに〈家族の支え〉は【日頃から日常生活を維持する努力】【災害発生後に日常生活を維持する努力】という”行動”に影響していた。これら”行動”に介入することが疾患を自己管理しながら生活を維持するプロセスにつながることが示唆された。
|