2020 Fiscal Year Research-status Report
医療的ケア児のための居場所支援「訪問看護ステーション療養通所介護」の試行と評価
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20K11065
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Research Institution | Shonan Kamakura University of Medical Sciences |
Principal Investigator |
小森 直美 湘南鎌倉医療大学, 看護学部, 准教授 (70438307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伴 佳子 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, その他, 准教授 (80726498)
野村 佳代 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, その他, 教授 (90335589)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 医療的ケア児 / 訪問看護師 / 療養通所介護 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、かかりつけ医や訪問看護師、特別支援学校教員等(介護士、保育士、障害児通所支援事業所職員、障害児相談支援事業所職員、保育所職員、認定こども園職員、幼稚園教員、放課後児童クラブの方、ボランティア、学生)による支援ネットワークを構築し、訪問看護ステーションにおける居場所支援「訪問看護ステーション療養通所介護」を試行し、評価することを目的としている。また、本研究は、ケアを受けながら教育(遊び)を受けることができる居場所支援を特色としている。 2020年度は、居場所支援要項と要領等を作成するため、医療的ケア児の保護者と医師、訪問看護師、特別支援学校教員を対象にニーズ調査を行う準備を実施した。準備内容として、湘南鎌倉医療大学の倫理委員会の承認を受けたとともに、医療的ケア児の日中一時預かりを行っているオレンジキッズケアラボの視察を行い、医療的ケア児のレスパイトケアの現状と課題について確認を行った。視察の結果、1.医療的ケア児が安心して過ごせる療育環境を作るためいには地域社会全体の理解とつながりの必要性、2.医療的ケア児の居場所支援を継続するための制度の活用、3.看護師による医療的ケア児の発達を促す教育的関わりの必要性、以上3点が明らかになった。 現在は、医療的ケア児の保護者と医師、訪問看護師、特別支援学校教員を対象に、オンライン・インタビューによるニーズ調査を開始している。調査内容は、①医療的ケア児の保護者:居場所に関わる現状、利用する機会、申し込み方法、送迎方法、食事、排泄、医療機器、環境設備など、②医療従事者:受け入れ態勢、設備など、③特別支援学校教員:医療的ケア児の教育について等である。 2021年度国会において医療的ケア児の支援強化法案が審議入りすることを受け、医療的ケア児の療育環境を整えるための支援とはどのようにあるべきか、検討していきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していた医療的ケア児の保護者および医師、看護師、特別支援学校教員を対象にしたオンライン・インタビュー調査は順調に進んでいる。今後、実施予定である居場所支援「訪問看護ステーション療養通所介護」の施設整備や要項、要領の作成について着手できた。 一方、コロナ禍であることによって医療的ケア児を受け入れている訪問看護ステーションの現地実態調査できていない。現段階においては、現地実態調査を実施することは難しいため、資料分析を重ねるとともにオンラインによるヒアリング調査に切り替えることとした。このヒアリング調査から、医療的ケア児の受け入れ環境を整えていくことにする。当初計画した調査ではないが、質的な調査から知見を得られることは大きい。以上のことから、これまでに得られた研究成果としては、当初の予定どおり概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、医療的ケア児の居場所支援「訪問看護ステーション療養通所介護」の要項、要領等の完成を目指す。2021年度以降は、訪問看護師による医療的ケア児の教育指導要領の作成にも着手する。 また、現在行っている医療的ケア児の保護者と医師、訪問看護師、特別支援学校教員を対象にしたオンライン・インタビューによるニーズ調査を終了し、考察に入る。得られたデータを基に研究者会議を開催し、医療的ケア児の居場所支援の現状と課題について研究成果等の発表を行う。 次に、本研究を実際に行ってもらう訪問看護ステーションとの調整に入る。本研究を実施してもらうにあたり内容や方法、手順等の確認を行う予定である。 国内外の現地調査に使用することは困難になったが、国内外への研究成果の発信等によって社会貢献をより高めることに努める。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、以下の通りであった。 1) コロナ禍であることによって医療的ケア児を受け入れている訪問看護ステーションの現地調査ができておらず資料分析に変更したため、2) 国内外の学会等で情報収集できなかったため、が主な理由である。 今後は、変更が生じた次年度使用額を調査関連、研究調整、研究成果投稿費用の経費に積極的に活用していく予定である。
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