2020 Fiscal Year Research-status Report
保健師の記録を用いた神経発達障害のリスク要因の研究-機械学習の手法によるモデル化
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20K11101
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
畠中 雄平 琉球大学, 人文社会学部, 教授 (60649846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池添 志乃 高知県立大学, 看護学部, 教授 (20347652)
蜂屋 孝太郎 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 講師 (40540381)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 神経発達障害の早期発見 / 「子どもの発達の記録」 / 初期の運動発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
対象とした2市から収集した「子どもの発達の記録」のデータを固定化した。「子どもの発達の記録」の全ての項目についての分析については、項目数が多くサンプル数が解析に耐え得るかどうかについての検討がなお必要であるため、神経発達障害の早期徴候のひとつと考えられ、その後の認知・社会性・行動などの広汎な発達の基礎となる「一人歩き」に至るまでの初期の運動発達に項目をしぼって分析を開始した。具体的には、4カ月健診、10カ月健診、1歳6カ月健診における運動発達に関する項目の異常(発達のマイルストーンの未達成)が、将来の神経発達障害の診断を予測するかどうかについての分析を実施した。 相関分析の結果は以下の通りであった。F70(ICD10Fコード、以下同様)軽度知的障害とF82運動機能の特異的発達障害は、1歳6カ月児の発達の記録の「しゃがんで物を持ち上げることができますか」と弱い相関があった。F80会話および言語の特異的発達障害は、10カ月児の発達の記録の「ひとりで、つかまって立ち上がりますか」、1歳6カ月児の発達の記録の「上手に歩くことができますか」、1歳6カ月児の発達の記録「しゃがんで物を持ち上げることができますか」の3項目と弱い相関があった。F90多動性障害はどの項目とも相関が見られなかった。 また、何らかの神経発達障害の診断の有無を目的変数として行ったロジスティック回帰分析の結果は、1歳6カ月児の発達の記録の「上手に歩くことができますか」のみが偏回帰係数が5%水準で優位となった。このロジスティック回帰モデルから得られる有病確率を用いて診断の有無を予測した時のROC曲線(Receiver Operating Characteristic 受信者動作特性曲線)下面積(AUC Area Under the Curve)は0.64であり、予測精度は低かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19感染拡大の影響で研究が予定通りに進められるかが危惧されたが、データ入力のための人員を雇用することができたため、当初の予定通りに2020年度中に「子どもの発達の記録」からのデータ収集と固定を終えることができた。 一方で、当初予定していたヨーテボリ大学ギルバーグ神経精神医学センターのクリストファー・ギルバーグ教授及びエリザベス・ファネル教授との研究協議は実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
初期の運動発達が将来の神経発達障害を予測するかについて、疾病の要因分析や診断への応用が試みられているベイジアンネットワークモデルを解析に用いることも検討し、本年度中に論文化する。 その上で、それ以外の「子どもの発達の記録」の項目についての機械学習を用いた解析の検討を行う。
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Causes of Carryover |
COVID-19の感染拡大により、予定していた学会出張、海外出張、研究協議等を全く行うことができず、次年度使用額に繰越した。今年度下半期に国内・海外での対面の研究協議を予定している。
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