2020 Fiscal Year Research-status Report
療養生活支援における訪問看護師の観察力を視線運動解析を用いて可視化する研究
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20K11116
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Research Institution | Meiji University of Integrative Medicine |
Principal Investigator |
田中 小百合 明治国際医療大学, 看護学部, 教授 (80324573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河原 照子 明治国際医療大学, 看護学部, 講師 (20739370)
松岡 みどり 明治国際医療大学, 看護学部, 講師 (60739382) [Withdrawn]
渡邉 康晴 明治国際医療大学, 医学教育研究センター, 准教授 (90454537)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 訪問看護師 / 観察力 / 視線運動 / 眼球運動 / 病棟看護師 / 比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成4年老人訪問看護制度が開始されてから約30年が経過し、ここ数年の訪問看護師関連の原著論文数は毎年130件以上発表されている。令和元年では終末期関連、継続看護を含む多職種連携、訪問看護師の困難感等についてのインタビュー調査、アンケート調査、事例報告が主であり、客観的指標を用いた研究はなかった。訪問看護師は多くの医療職者がいる病棟とは違い、療養者宅でケア提供、症状・病態の予測と予防を一人で行っており、その際に重要となるのが観察力である。主観的な観察という動作を客観的に計測する試みの一つに視線運動解析がある。看護分野での視線運動解析の研究は病棟看護関連のみであり、訪問看護関連はない。そこで、本研究は訪問看護師が在宅療養生活の動画を見ている時の視線の動きを視線運動測定装置および解析ソフトを用いて分析することによって、訪問看護師の観察力の特性を明らかにすることを目的として実施する。さらに訪問看護師の特性を浮き彫りにするために病院看護師との比較を行う予定である。 令和2年度は、1)観察対象である動画の選定、2)実験環境を整備し、3)プレ実験を計画した。 1)観察対象となる動画は実際の療養生活の訪問場面が望ましいが、プライバシーを配慮し、市販の動画を用いることにした。WEB上で公開されている訪問看護師の活動を撮影した映像、在宅看護教育の教材で販売されているDVDなど25種類の映像から5分程度の訪問場面、2種類を選定した。 2)眼球運動測定装置(竹井機器工業株式会社製)、解析ソフト、その他附属品を購入し、実験環境を整備した。 3)プレ実験では、研究協力者として依頼した訪問看護師2名を対象に実施する予定であったが、実施に至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
プレ実験まで実施できなかった理由は次の2点である。 1)新型コロナウィルス感染症の流行により、大学の遠隔授業の準備と対応、看護臨地実習の受入困難に伴った学内実習の増加や追実習の調整などが生じたために研究時間の確保が困難であったこと。 2)新型コロナウィルス感染症の流行により、プレ実験の被験者として研究協力を依頼していた訪問看護師の業務量が増加したこと、感染予防のために他者との接触を回避したことにより、協力が得られなかったこと。 本研究の被験者は医療関係者を対象としているため、新型コロナウィルス感染症の流行によって、次年度以降の研究活動にも影響し、遅れる恐れがある。研究期間の延長も視野に入れていくこととする。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、所属大学の「ヒトを対象とした研究の実施に対するガイドライン」に則って対応しながら、令和2年度に実施できなかったプレ実験を実施、その後、本実験を実施する計画とする。 令和3年度も新型コロナウィルス感染症の流行が収束しないことが予測されるため、次の点を考慮し、変更する。 1)計画ではプレ実験の被験者は訪問看護師であったが、看護職退職後1~2年の学内教員に変更し、協力要請する。 2)本実験の被験者は、訪問看護5年以上の経験を含む看護師歴10年以上の訪問看護師15名と、成老人系の病棟勤務10年以上の病棟看護師15名が対象である。しかし、感染予防の点から最小限の施設数でデータ収集が行えるように、経験年数、人数を緩和することも考え、対応する。 収集するデータは、基礎データとして被験者の属性、客観的データとして視線運動の測定値、主観的データとして口頭による観察内容である。データ収集と並行して、視線運動の測定指標として設定した注視点、平均注視時間、領域別注視時間の解析を行う。
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Causes of Carryover |
予定していた眼球運動測定装置が配分金額では購入できず、機器の型を変更したことと、新型コロナウィルス感染症の流行によって訪問看護師の協力が得られずに謝金分が未使用となったために生じた。なお、本差額は次年度の調達品に使用予定である。
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