2020 Fiscal Year Research-status Report
わが子の育児と親の介護を同時に担う日本人女性ダブルケアラーの経験
Project/Area Number |
20K11130
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
杉山 希美 愛知県立大学, 看護学部, 助教 (10527766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
表 志津子 金沢大学, 保健学系, 教授 (10320904)
岡本 理恵 金沢大学, 保健学系, 准教授 (50303285)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ダブルケア / 育児と介護 / 日本人女性 / 複数役割 / エスノグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
現代の日本は、女性の社会進出が進展し、晩婚化および晩産化が進行している。加えて、きょうだい数が少なく、核家族の割合が高い背景のなかで、女性が育児のケア役割を同時に担うリスクが高まっている。わが国では、中年期に育児と介護を同時に担うダブルケアラーが増加しており、今後も更なる増加が見込まれるが、十分な支援体制は構築できていない現状がある。日本人女性ダブルケアラーは、子どもの母親、親を介護する娘(嫁)、夫の妻というように複数の役割をもつ。これまでの調査では、自分の役割が十分果たせないことや、家族関係に負担を感じることが明らかにされているが、ダブルケアラー自身がダブルケアを担うことをどのように捉えているか十分に把握できていない。本研究の目的は、エスノグラフィーの手法を用いて、日本人女性ダブルケアラーが複数の関係性の中でどのように生き、その経験をどのように捉えているのかを明らかにし、支援に繋がる示唆を得ることである。 令和2年度から3年度にかけて、調査の実施およびデータ分析を行う計画である。 令和2年度においては、ダブルケア支援団体が開催する当事者同士の集会(ダブルケアカフェ)やセミナー、団体の活動打ち合わせ等の活動に参加し、参加観察を行った。また、ダブルケア支援団体が作成した資料や媒体、マスメディアの報道やSNSでの投稿の記述等からもデータ収集を行った。ダブルケアラーへのインタビューは、主に東海・北陸地方に居住する7名(36~52歳、ダブルケア歴1~17年)に実施した。 インタビューの結果、「家族内で育児、介護は私の役割という暗黙の了解がある」、「家族の希望が叶えられるように自分がうまく動いて家族みんなの生活を組み立てる」、「自分のことが後回しになる」等といった経験が明らかになっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響によりインタビュー調査の開始が遅れてしまった。調査ができない期間は安全に実施できる方法を検討し、対面で実施する場合の安全対策および、オンラインによる調査の準備を行った。インタビュー調査は7名の調査に留まったが、個別のデータ分析は遅延なく進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は引き続きインタビュー調査を進める。そして個別のデータを統合し、日本人女性ダブルケアラーの経験をまとめる。研究結果は、学会等で発表する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大の影響による移動制限が生じ、調査、研究打合せ、学会参加が全てオンラインに切り替わったため旅費の残額が生じた。加えて、調査が予定人数に到達しなかったことで、文字起こし代の残額が生じた。令和2年度の残額は、翻訳代およびオンライン開催される国際学会への参加費に充てる。
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