2020 Fiscal Year Research-status Report
Building support for reproductive health needs of female technical intern trainees
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20K11133
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Research Institution | Oita University of Nursing and Health Sciences |
Principal Investigator |
篠原 彩 大分県立看護科学大学, 看護学部, 助手 (10816929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 涼子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 准教授 (30437826)
桑野 紀子 大分県立看護科学大学, 看護学部, 准教授 (30550925)
大西 眞由美 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (60315687)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 女性技能実習生 / 月経不順 / 文化変容ストレス / ベトナム / リプロダクティブヘルス |
Outline of Annual Research Achievements |
技能実習生の中でも増加しているベトナム人女性技能実習生を対象として、来日後の月経悪化と月経に関する相談行動に影響を及ぼす関連要因を明らかにすることを目的に、ベトナム語での無記名自記式質問紙調査を行った。調査の結果は下記の通りである。 1)対象者の約25%が来日後、月経悪化を経験していた。しかし、そのことを月経問題だと認識している者は少なかった。ベトナムでの就業経験の有無と来日後の月経悪化との関連が示唆された。 2)月経問題があると感じたほとんどの実習生は、同胞の同僚や友人に相談をしていた。しかし、監理団体関係者や日本人の同僚に相談していた者はいなかった。 3)文化変容ストレスと月経悪化および月経に関する相談行動との関連は認められなかった。しかし、母国で月経不順はなく、来日後、月経悪化を経験していた実習生の文化変容ストレススコアは月経悪化群全体より高く、また、月経問題の相談をしていない群のスコアも相談した群より高かった。 4)月経教育を「学校で受けた」と回答した対象者は約12%で、「母親」から教わったと回答した者が最も多かった。月経周期について「計算方法がわからない」また誤った回答をしていた者が約16%いた。また、約60%の実習生が、母国で月経不順があったと回答した。 調査結果から、ベトナム人女性技能実習生は、月経を含めた女性の二次性徴や妊娠・出産の生理などについて系統的な情報を持ち合わせていないことや異なる文化圏での生活により生じる文化変容ストレスが、月経悪化として現れている可能性が推察された。来日後、起こり得る女性特有な体調の変化について、実習生の社会的背景や文化変容ストレスを考慮した教育や支援を検討する必要があることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年の計画通りに大分県内のベトナム人女性技能実習生への質問紙調査を実施することができた。 しかし、より実習生の実態に即した支援を考えるためには、女性特有な症状に関する客観的な情報の収集を行うこと、また、日本国内の居住地域や職種による影響などを反映させる必要が示唆されたため、対象者を増やし、広範囲で調査することを検討しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の調査結果を踏まえ、女性技能実習生の受入れを行っている監理団体担当者および実習指導員もしくは生活指導員を対象に、半構成的インタビュー調査を実施する予定である。インタビュー結果を質的に分析し、女性技能実習生を支える日本人関係者が行っている健康・生活環境への配慮および、女性特有な身体の不調への気づきについて明確にする。
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Causes of Carryover |
計上していたデータ入力学生のアルバイト費用は自分で入力を行ったため支出せず、質問紙調査紙配布のための旅費についても監理団体側から配布していただいたため、支出はなかった。 当初、女性技能実習生を担当する監理団体関係者のみのインタビュー調査を予定していたが、今年度の調査結果から身近な日本人担当者である実習指導員および生活指導員にも対象を広げ、インタビュー調査を実施する計画である。そのためにかかる費用として旅費、人件費、その他の経費を使用する予定である。
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