2021 Fiscal Year Research-status Report
Management of the malignant cycle between heart failure and arrhythmias
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20K11152
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
有本 貴範 山形大学, 医学部, 助教 (80400547)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 心房細動 / 心不全 / カテーテルアブレーション / ペースメーカ / 植込み型除細動器 / CRTD / 着用型除細動器 |
Outline of Annual Research Achievements |
①徐脈性不整脈と心不全 植込み型デバイス委員として学会活動の任務を継続しており、植込みデバイス関連冬季大会において、(1)教育講演、(2)シンポジウムを担当した。(1)現在、本邦では、植込み型除細動器を植込みするためには、植込み型除細動器(ICD)/ペーシングによる心不全治療(CRT)研修を受ける必要がある。私は、この研修において、「リードの選択・デバイスの選択と初期設定」について担当し、当院の徐脈性不整脈と心不全の症例について、具体的を交えて最新論文をレビューした。多数の参加者に対して、教育的な講義を行うことができた。(2)不整脈に関する手術では、「デバイス患者における同意書と個人情報取り扱いに関する問題」が一つの焦点になっている。私は、このシンポジウムにおいて、リード抜去術・左心耳閉鎖術について担当した。これらの手術に直接、携わった経験のある委員が他にいないため、小生が具体的な事例を挙げて、講演を行うことができた。 ②頻脈性不整脈と心不全 コロナ禍に関わらず、300件以上の頻脈性不整脈カテーテル治療を施行し、特に心不全合併例について過去最多の治療を担当した。特記すべき症例1つを英文で、1つを邦文で報告した。【症 例】50代男性。心房細動に対するクライオバルーンアブレーションを行った。この際、肺静脈と上大静脈が同時に隔離され、13ヶ月後にも隔離されたままであることを3Dマッピングシステムで描出した(J Cardiol Cases. 2021; 24: 300-302)。【症例】50代女性。長期に及ぶ永続性心房細動、僧帽弁閉鎖不全症により車いす生活を余儀なくされていた。外科的な僧帽弁置換術、心臓リハビリを施行することにより、著明な心房リバースリモデリングが観察された。現在は仕事も可能になり、ハートチームによる介入が奏功した一例だった(東北理学療法学2021;33:82-89)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年6月開催予定の日本不整脈心電学会において、徐脈性不整脈と心不全に関する座長を務める予定である。また、頻脈性不整脈と心不全について3つの一般演題を報告する予定である。さらに、2022年6月開催予定の日本心臓リハビリテーション学会において、心臓リハビリテーション中の不整脈管理について、発表する予定である。 不整脈と心不全に関する診療、データベース登録の過程において、稀な症例、新規治療を施行した場合には、昨年度と同様に、症例報告を行う方針である。着用型除細動器を使用した心不全症例のデータをまとめたが、その中に、着用型除細動器使用中に発生した接触性皮膚炎の1例を経験した。接触性皮膚炎の画像は過去に報告されておらず、循環器内科が注意すべき合併症として警鐘を鳴らす英文報告になると思われる(J Cardiol Cases. In press)。アンチトロンビン欠損症を背景にもった陳旧性心筋梗塞、心室頻拍の1例に対してカテーテルアブレーションを行った事例を経験した。アブレーションの際の抗凝固薬は重要であるが、アンチトロンビン欠損症に対する安全な抗凝固薬使用の報告として、英文で論文を準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね予定通り、研究を推進できている。山形大学医学部附属病院の心不全と不整脈合併症例の入院、手術件数は増加している。引き続き頻脈、徐脈ともに治療を継続しながら、データベースを整備し、不整脈治療による心機能改善の効果判定、予後判定を継続していく予定である。どちらかというと「頻脈」、特に心房細動と心不全を合併している症例が多いため、最終年度は、心房細動・心不全に焦点を当てて、検討を継続していきたい。現在、心房細動カテーテルアブレーションのガイドラインでは低心機能を伴う心不全症例が積極的な手術の適応として報告されているが、我々の成績では心機能が保持された心不全(HFpEF)症例に対してもカテーテルアブレーションの効果が良好な印象である。HFpEFに対する治療方法が確立されていない現状を打破すべく、HFpEFこそ積極的な治療を行い、その有効性、予後改善効果について検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍にあり学会発表がWebであった。最終年度は複数の学会に参加して、成果報告を予定している(すでに6月の演題採択が決まっている)。
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Research Products
(4 results)