2023 Fiscal Year Research-status Report
女性骨盤底機能障害のレジストリ作成に基づいた予防・先端治療の確立
Project/Area Number |
20K11158
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
芦刈 明日香 琉球大学, 病院, 助教 (80768599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮里 実 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70301398)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 女性骨盤底機能障害 / ゲノム / 疾患レジストリ / 骨盤臓器脱 / 尿失禁 / 過活動膀胱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、腹圧性尿失禁や骨盤臓器脱(Pelvic Organ Prolapse:POP)、過活動膀胱といった女性骨盤底機能障害という中高年女性に潜在的に多く存在しQOLを著明に損なう疾患を対象としている。これらの疾患の発症予防や発症後の難治性症状に対して基礎的、臨床的側面から網羅的に解析しその疾患特性を明らかにし、原因や病態を解明し女性骨盤底機能障害に対して新たな個別治療ストラテジーを構築する事を目的としている。 POP発症の高リスク因子探索のため、POP群と非POP群の患者背景(発症年齢、既往歴、出産情報、骨盤臓器脱家族歴など)、疾患情報(骨盤臓器脱ステージ、下部尿路症状、排便症状、性機能など)、をレジストリとして登録した。POP群336人、非POP群563人を報告時点で登録しており、そのデータから疾患群に特異的な項目を抽出しリスク因子の同定のための最終解析を行った。POP群305人(平均年齢72歳)、非POP群338人(平均年齢57歳)を解析し、両群の年齢差を補正した両群各129人で最終解析した。その結果、肥満や多産に加え、高血圧の後天的因子、さらに先天的因子であるPOP家族歴の関与があることが示唆された。遺伝的背景の裏付けとして骨盤臓器脱に関わるゲノム因子の探索のため324人のDNA検体より、沖縄バイオインフォメーションバンクやバイオバンクジャパンのデータを対照群としたPOP発症高リスク因子を最終解析中であり、両者とも論文化中である。後天的・環境因子に加えて先天・遺伝因子の関与の報告は国内初となる見込みである。これらから、骨盤臓器脱未発症だが発症高リスク因子をもつ女性に対し、個別化予測・早期の保存的介入を試みることが可能となる。 その次のステップが排尿姿勢とバランスを考慮した理論的な骨盤底筋訓練であり、現在検証中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画していた研究実施期間をコロナ禍の影響で対照群の収集が遅れ、それが期間延長につながった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画を今年度で終了見込みである。本研究で得られたPOP高リスク因子を元に個別化治療ストラテジーの構築を行い検証する。
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Causes of Carryover |
当該年度中に論文化に至らなかったため論文掲載費を残している。
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