2022 Fiscal Year Annual Research Report
小型無線慣性センサーを活用した歩行インシデントの客観的分析法の考案
Project/Area Number |
20K11172
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
大塚 圭 藤田医科大学, 保健学研究科, 准教授 (60460573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 文浩 藤田医科大学, 保健学研究科, 講師 (30646998)
土山 和大 藤田医科大学, 保健衛生学部, 助教 (60780624)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小型慣性センサー / 脳卒中片麻痺者 / 歩行 / FallとNear fall |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度では、分析対象とするインシデントの出現要因を特定するために70名の脳卒中片麻痺者の歩行中の113件のインシデントの調査した結果、Fall、Near fallとも立脚期の動揺(73件)と爪先離地困難(36件)の出現頻度が高かったことから、本研究では、分析対象を立脚期の動揺と爪先離地困難をした。第7頚椎棘突起、仙骨後面、両側の大腿部、足背部、踵部後面に慣性センサーを装着した健常者に両因子を歩行中に模擬的に行わせ、計測した。両要因ともFallは,仙骨後面に装着した慣性センサーの鉛直下方の加速度成分が高い振幅値を呈し、定常状態で生じる重心の上下運動の加速度振幅値の最大値間隔が拡大する特徴が認められた。この2つの特徴に基づいたアルゴリズムにてFallは100%の判定が可能であった。Near fallは転倒に至らず、早期に歩行を再開した場合やNear fallが小さな動作の場合は、定常歩行との区別は困難であった。この結果をふまえ、脳卒中片麻痺者を対象に慣性センサーを仙骨後面(インシデント判定)、歩数検出(両大腿部)に装着し、計測した。結果、FallとNear fallとも健常者と同様の知見が得られた。しかし、監視者が早期に介助介入してしまったため、判定できないケースも存在した。歩数検出では、立脚期に過剰に一度屈曲する現象を一歩として判定し、誤差が生じることが確認できた。 本研究の結果より、仙骨後面と両大腿部に3つの慣性センサーを装着した計測によって、判定が困難する小刻み歩行やすり足を含めた歩数検出と、Fallを対象としたインシデント出現率の分析が可能となった。Near fallは振幅間隔で判定に活用するアルゴリズムが有用であったが、判定困難なケースも存在したため、Near fallの基準の再考とともにアルゴリズムの改良が必要になると考えられた。
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