2020 Fiscal Year Research-status Report
間質性肺疾患患者の難治性咳嗽に対する咳嗽抑制理学療法プログラムの適用と効果検証
Project/Area Number |
20K11184
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
神津 玲 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (80423622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花田 匡利 長崎大学, 病院(医学系), 技術職員 (00596869)
田中 貴子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 准教授 (00612409)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 間質性肺疾患 / 咳嗽 / 理学療法 / 運動能力 / 健康関連生活の質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,難治性咳嗽患者で有効性が示されている咳嗽抑制理学療法プログラムを間質性肺疾患患者に適用し,咳嗽症状を軽減する手段となり得るか,その効果を検証することである。咳嗽は間質性肺疾患の主要な症状であり,鎮咳剤の効果が限定的な難治性の慢性咳嗽を特徴とし,患者の日常生活を著しく制限している。本疾患における咳嗽の機序は不明な点が多いことに加えて,咳嗽症状の有無および程度と患者の呼吸機能や重症度との関連性,身体活動や日常生活,さらに健康状態に及ぼす影響は明確に示されていない現状にある。 令和2年度は,間質性肺疾患患者における咳嗽の臨床的特徴と日常生活,運動能力および健康関連生活の質(QOL)との関連性について検討した。病状が安定している間質性肺疾患患者を対象とし,過去4週間以内に発症した気道感染,現喫煙,胃食道逆流や明らかな誤嚥,気管支喘息,肺癌および気管支拡張といった喀痰を伴う疾患の合併など,明らかな咳嗽の原因を特定できる合併症を有する場合は除外した。対象者には,咳嗽症状の有無とともに,咳嗽重症度としてvisual analogue scale(咳VAS)を聴取し,咳嗽特異的QOL(Leicester Cough Questionnaire,LCQ)ならびに簡易健康状態質問票(King’s Brief ILD,K-BILD)を調査した。あわせて,呼吸機能(肺活量,肺拡散能),呼吸困難(mMRC息切れスケール),日常生活活動(KatzのADLスコア),運動耐容能(6分間歩行テスト)の評価も行った。現時点で50名の対象者が集積できており,今後,解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の最初の段階である「間質性肺疾患患者における咳嗽の臨床的特徴」を把握するための観察研究は,症例がやや不足しているものの,おおむね順調に進展していると自己評価する。実施可能性についても問題はないと判断できた。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の調査研究の解析を進める。また,予定通り,令和3年度は「咳嗽抑制理学療法プログラムの効果の検証」に着手する。まず,その準備として,プログラムの内容と対象者向け教材,ならびに担当医療スタッフ向けのマニュアルを作成する。 また,関連学会に参加し,情報収集を行う予定である。今年度も新型コロナウイルスの感染拡大が懸念され,本研究もその影響を少なからず受けることが予想される。研究は外来患者を対象としているが,外来通院が不可能となることも考えられるため,場合によっては在宅プログラムを作成し,患者自身で実施できるよう準備する。
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Causes of Carryover |
(理由)情報収集や研究打ち合わせ訪問のための旅費・宿泊費,資料整理などに要する人件費などに予算を使用できていないため。 (使用計画)昨年度の症例データの解析のための人件費,解析に必要なソフトウェアの購入とともに,咳嗽抑制理学療法プログラム実施に必要な指導者用マニュアル,対象者用教材の作成のための経費に充てる。
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Research Products
(9 results)