2023 Fiscal Year Research-status Report
慢性閉塞性肺疾患の認知機能低下における脳血管動脈硬化の役割
Project/Area Number |
20K11186
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
岩本 えりか 札幌医科大学, 保健医療学部, 准教授 (40632782)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 動的肺過膨張 / 脳循環 / 血圧 / 心拍出量 / 呼吸筋仕事量 |
Outline of Annual Research Achievements |
R5年度は動的肺過膨張が脳および全身循環に与える影響について検討した。動的肺過膨張とは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者にて労作や運動など呼吸数が大きくなる時に、空気を吐き切ることができず、肺が過膨張となる現象である。本研究では、先行研究ですでに確立されている呼気測回路に小孔組み込む手法を用いて、健康成人にて段階的に動的肺過膨張を引き起こし、脳循環および末梢循環、全身循環、呼吸筋仕事量、呼吸困難感に与える影響を検討した。現在、若年男女19名の測定が終了した。具体的には、スパイロメータを用いて被験者の測定を行った後に、自由呼吸を5分行い、ターゲットとなる一回換気量および呼気終末CO2分圧を測定した。その後、呼吸数30回、吸気呼気比1:1としたコントロール呼吸を実施した。コントロール呼吸中には、一回換気量をフィードバックして被験者に提示し、呼気終末CO2分圧が自由呼吸時と同程度となるように吸気にCO2ガスを添加した。その後、コントロール呼吸3分、呼気抵抗呼吸5分を実施した。呼気抵抗呼吸では、呼気側の呼吸回路に小孔が空いた3強度の呼吸抵抗器をランダムに入れ、意図的に3段階の動的肺過膨張を引き起こした。自由呼吸、コントロール呼吸、呼気抵抗呼吸中には、中大脳動脈の血流速度(脳循環の指標)、上腕動脈血流量(末梢循環の指標)、血圧、心拍出量、一回拍出量、心拍数、口腔内圧変化(呼吸筋仕事量の指標)を測定した。また、呼気抵抗呼吸前後には、修正Borgスケール(呼吸困難感の指標)を測定した。動的肺過膨張の程度は最大吸気量(IC)の減少にて評価した。現在、結果を解析中であり、動的肺過膨張の程度によって影響が異なるかを検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
測定に用いる呼吸回路のセッティングに時間を要した。本実験では、呼気抵抗を用いた際に呼吸回路内に圧がかかり、弁が揺れてしまうことによりフローセンサーで正しく呼吸を検出できない問題が発生した。本事象は、呼気ガス分析装置を2台用いて、圧のかかる回路の外側で、吸気側と呼気側どちらもフローを同時測定することで解決することができた。また、呼気抵抗の適切な強度を決定するために、予備実験を繰り返しており、それに時間を要したが、最終的に3強度を設定し、実験を終了することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
R6年度においては、R5年度に測定したデータについて解析を終了させ、学会発表および論文投稿を進める予定である。解析結果によっては追加でデータが必要になることも予想されるため、適宜追加実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
R6年度においては、R4年度にすでに解析を終了したデータについて論文投稿の準備が進んでおり、そのために必要な予算を使用する。また、R5年度に測定したデータについて、解析終了後は学会発表および論文投稿を進める予定であり、そのため必要な予算を計上した。すでに全員分の測定は終了しているが、解析結果によっては追加でデータが必要になることも予想されるため、適宜追加実験を行う予定である。
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Research Products
(16 results)