2020 Fiscal Year Research-status Report
知覚学習の効果を向上させる神経ネットワーク刺激戦略の開発
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20K11194
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
齊藤 慧 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 講師 (80707315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大鶴 直史 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 准教授 (50586542)
宮口 翔太 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 助教 (60780343)
大西 秀明 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (90339953)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 知覚学習 / 触覚方位弁別 |
Outline of Annual Research Achievements |
特定の知覚刺激を使った課題を繰り返し行うことでその課題成績を向上させることができる.このプロセスは知覚学習と呼ばれ,知覚学習理論に基づいたリハビリテーション戦略は触覚機能障がいを回復へと導く可能性があると考えられている.しかし,知覚学習効果には大きなばらつきがあり,課題を繰り返し行っても期待した効果が得られないことも多い.そこで,本年度は触覚方位弁別課題を繰り返し行うことで,課題成績にどのような変化が生じ,知覚学習効果にどの程度のばらつきがあるのかを検証した.触覚方位弁別課題とは幅の異なる縞(0.35, 0.5, 0.75, 1.0, 1.2, 1.5, 2.0, 3.0 mm)が刻み込まれたドーム状の機器を対象者の示指に押し当て,その縞の方位(縦or横)を回答する課題である.結果として,2人に1人の対象者では触覚方位弁別課題を繰り返し実施した後に弁別能力の向上を認めたが,残りの対象者では課題を繰り返し実施した後に弁別能力が低下した.さらに,課題遂行前の弁別能力と課題遂行によって生じる弁別能力の変化の間には相関関係が認められた.つまり,課題遂行前の弁別能力が低い対象者では課題を繰り返し行うことで弁別能力が向上するが,弁別能力が高い対象者では課題遂行によって弁別能力が低下することが明らかになった.これらの結果から,課題遂行前に対象者が有する弁別能力によって,知覚学習効果が変動する可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
概ね,当初予定した通りのスケジュールでデータ計測は進んでいるものの,脳波データの解析に遅れが生じている.その理由としては,脳波データの解析方法の習得に想定以上の時間を要したことがあげられる.現在はデータ解析方法の習得に目処がたっており,今年度の遅れを挽回できると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
知覚学習効果について,触覚方位弁別の計測に加えて,脳波データの計測も行っている.今後は知覚学習効果が得られた対象者と学習効果が得られなかった対象者に分けて脳波データの解析を行い,知覚学習効果に関与する皮質領域・神経ネットワークを同定していく予定である.
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Causes of Carryover |
今年度は脳波データの本格的な解析にまで至らなかったため,当初予定していた所要額と実際の使用額に相違が生じた.脳波データの解析方法の習得の目処がたったため,次年度は脳波データの計測に必要な消耗品やデータ解析に必要な物品等の購入を予定している.
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