2020 Fiscal Year Research-status Report
高次味覚BMI開発のための美味しさを認識する脳内味覚地図の解析
Project/Area Number |
20K11195
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
薗村 貴弘 朝日大学, 歯学部, 教授 (40347092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩井 治樹 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (30452949)
古田 貴寛 大阪大学, 歯学研究科, 講師 (60314184)
大平 耕司 武庫川女子大学, 食物栄養科学部, 准教授 (80402832)
松田 和郎 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (80444446)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 味覚 / juxtacellular recording法 / 中枢神経系 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年のBMIの進歩はめざましく、自分の脳で思い描いた通りに自由に動く義手や、聾者の聴覚を回復させる人工内耳の開発も盛んに行われている。しかし、味覚を喪失してしまった人に対する味覚BMIの試みは未だ行われていない。口腔の主な機能は栄養の摂取であるが、人生の最後まで美味しく、かつ、安心安全にものを食すること、口から味を感じながら生活することは、QOLの向上に極めて重要である。そこで、本研究では、脳内味覚回路がヒトに近似している霊長類の中でも、我が国で積極的に使われているコモン・マーモセットに対して、最新の細胞外記録法として注目されているjuxtacellular recording法を用いることにより脳内の味覚地図を解明し、味覚BMIの開発に向けた基礎的データを供給すること目指している。 本研究の最終目的でもある美味しさを感じられる人工の舌を完成させるためには「美味しさ」を感じる脳内の味覚の回路を解明することが必須である。脳内の味覚回路の中には、比較的原始的な「生存のための摂食行動」を引き起こす原始的な味覚と、より嗜好性の高い「美味しさ」を感じる高次機能の味覚の脳内伝導路は島皮質などで分岐し異なる経路を形成している。現在までに島皮質以降の味覚脳内回路はほとんど解明されていない。そこで、高次認知と情動とを統合する役割を持つ「島皮質」を中心に解析を進めている。今年度は新型コロナウイルス感染拡大に伴う対応に多くの時間を消費したことや新たな管理業務などの増加により思い通りに研究を遂行することができなかったが、次年度移行は新たな人員も加わり研究体制を増強し、さらなる所見が蓄積されていくことが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、新型コロナウイルス感染拡大に伴うテレワークの推進による研究そのものの停止、教育業務におけるこれまでにないオンライン講義の録画、オンライン実習の準備、研究分担者との対面打ち合わせに代わるWeb会議の準備等に加えて、年度途中の研究代表者の昇任に伴う新たな管理業務の増加など、研究遂行に対する想定外の障害と、本研究以外の業務がいくつも重なり、思うように研究を実施できない状況が続いた。次年度以降はこの状況にも慣れて様々な状況に対応可能と思われ、研究の推進に注力できる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、新たな人員が本研究室に着任することが決まっており、さらに研究の推進力が増加する予定である。それらの新体制の移行もスムーズに行い、さらなるデータの追加を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度は、新型コロナウイルスの感染拡大により、全ての学会がWeb開催などになり、移動を伴う研究活動がほとんど実行されなかったため、当初計画時の旅費などの使用計画を大幅に見直す必要があった。また対面での研究打ち合わせができないことから、Web会議などに必要な機材などの購入にも予想外の費用を要した。次年度以降も新型コロナウイルスの感染拡大次第では予定とは異なる使用計画になる可能性があるが、できるだけ計画された予算の円滑な使用に努める予定である。
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Research Products
(3 results)