2020 Fiscal Year Research-status Report
運動療法とポリフェノール摂取の併用は2型糖尿病患者の骨折リスク低減に寄与できるか
Project/Area Number |
20K11196
|
Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
高木 聖 常葉大学, 保健医療学部, 教授 (70712305)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 剛範 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 准教授 (10410937)
三浦 俊宏 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 教授 (90281493)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | レスベラトロール / 抗酸化・炎症作用 / 用量依存 / 耐糖能 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度の研究目的は、2型糖尿病モデル動物(KK-Ayマウス)を用いてポリフェノール(レスベラトロール)の抗酸化・炎症作用についての用量依存性を確認し、最も有効なレスベラトロール摂取量を明らかにすることであった。 KK-Ayマウスの標準的餌摂取量を基に、レスベラトロール摂取量が、25,50,100,150 mg/kg体重/日 となるように配合・調整した4種類のレスベラトロール特殊飼料を作製し、8週齢のKK-Ayマウスに摂取させた。標準飼料摂取群をコントロールとした。摂取開始から10週後に酸化ストレスマーカー(タンパク質カルボニル、2-チオバルビツール酸反応性物質)ならびに炎症マーカー(CRP)の値を生化学的に測定した。また、同時に血糖値ならびに耐糖能についても調べた。 100 mg/kg,150 mg/kg摂取群においてタンパク質カルボニルの値がコントロール群と比べ有意に低かった。また、CRPについても100 mg/kg,150 mg/kg摂取群で有意に低かった。100mg摂取群と150 mg摂取群の間においては差がなかった。2-チオバルビツール酸反応性物質の値は各群間に差はみられなかった。随時血糖値ならびに体重については4群間に差を認めなかったものの、糖負荷試験では、50,100,150 mg/kg摂取群において糖負荷120分後の値がコントロール群と比較して有意に低値であった。 以上のことから、レスベラトロールは2型糖尿病に対する抗酸化・炎症作用を有しており、100 mg/kgで飽和状態になることが明らかになった。したがって、運動療法との併用効果を調べるためのレスベラトロール摂取量は100 mg/kgが最適であると決定することができた。今後は運動療法との併用による抗酸化・炎症作用ならびに骨密度や骨質に対する有効性について検討する計画である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題は、2型糖尿病の骨密度・骨質・骨強度に対するレスベラトロール摂取と運動療法(トレッドミル走行)との併用療法の有効性を検討するものである。2020年度においては、最適なレスベラトロール摂取量ならびにトレッドミル走行速度・時間を明らかにする計画であった。レスベラトロール摂取量についての実験は計画通りに遂行することができ、100 mg/kg体重/日がもっとも有効であることを明らかにすることができた。 一方、運動療法に関する実験については、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言や移動自粛要請の影響を受け、研究補助者を十分に確保することができなかったために未だ実施できていない。しかし、2021年度においてはすでに実験補助者を確保できており、マウスの予備飼育も開始している。したがって、2020年度の若干の遅れをとり戻すことは十分可能であると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度の実験結果を基に、レスベラトロール摂取と運動療(トレッドミル走行)との併用効果について検討する。レスベラトロール配合特殊飼料は100mg/kg体重を使用する。トレッドミル走行は10m/分・60分走行群と5m/分・120分走行群の2群を設定し、10週間継続する。その後、酸化ストレスマーカー値や炎症マーカー値の測定をはじめとした生化学検査を実施するとともに、DXAによる骨密度測定やマイクロCTによる骨微細構造の解析を実施する。
|
Causes of Carryover |
(理由)新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、当初予定していた学会が中止あるいはweb開催となったため、差額が生じた。
(使用計画)次年度の助成金と合わせて、実験動物および生化学実験用試薬の購入に使用する予定である。
|