2020 Fiscal Year Research-status Report
訓練の難易度を段階的に変えて随意的な筋電位の発生を促すリハビリ訓練システムの開発
Project/Area Number |
20K11199
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
林 良太 岡山理科大学, 工学部, 教授 (40288949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 浩治 岡山理科大学, 工学部, 教授 (00254433)
衣笠 哲也 岡山理科大学, 工学部, 教授 (20321474)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リハビリテーション / 表面筋電位 / 訓練システム / 促通運動療法 / ロボットアーム |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、筋電センサで測定される表面筋電位によってロボットアームを操縦する訓練システムの構築を目標として、以下の項目に沿って研究を遂行した。 1.表面筋電位によってロボットアームを操縦する装置を作成した。手関節の掌屈と背屈に関する筋の表面筋電位を筋電センサで測定し、測定した表面筋電位が設定した閾値を超えたとき、超えた値に比例した速さで掌屈と背屈に対応した方向にロボットアームが回転する操縦装置を作成した。 2.操縦に不慣れな被験者でも、訓練課題を容易に達成できる機能を付加した。ロボットアームの回転方向に対応した筋の表面筋電位がわずかにでも設定した閾値を超えたとき、ロボットアームが自動的に回転する制御システムを構築した。この機能を用いた条件によって、操縦に不慣れな被験者の負担は軽減され、継続的な集中訓練が可能となった。 3.訓練の難易度が段階的に異なる条件を設定した。ロボットアームの回転方向に対応した表面筋電位の大きさ、およびその持続性と、ロボットアームの回転方向に対応していない筋の表面筋電位の大きさ、およびその持続性とを合わせて考慮することで、ロボットアームの制御法を変更して、訓練の難易度を7段階に分けた条件を考案した。 4.健常者を対象に、段階的に訓練の難易度を上げることによる訓練の実施可能性を確認した。ただし訓練効果を上げるためには、難易度を段階的に変更する適切な条件を検討していくことが必要である。以上の研究成果を第21回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会で発表した。その際、発表内容が高く評価され、SI2020優秀講演賞を受賞することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度は、筋電センサで測定される表面筋電位によってロボットアームを操縦する訓練システムの構築を目標としていた。表面筋電位の大きさは微弱であるため、筋電センサで測定される信号にノイズが加わることがある。作成した操縦装置では、予想外の大きなノイズが加わることがないように整備することができたので、閾値を適切に設定することで、表面筋電位によってロボットアームを操縦する訓練システムを実現することができた。さらに、次年度に予定している訓練の難易度を段階的に変えて訓練を実施する方法の構築に向けて、難易度の異なる訓練条件の候補を考案することができた。 よって、令和2年度の目標はおおむね達成され、次年度に向けての準備も整っており、順調に研究は進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度に得られた研究成果をもとにして、今後は以下の項目に沿って研究を遂行する。 1.難易度を段階的に変更する適切な条件を検討する。難易度を段階的に変えて、最終的に随意的な表面筋電位の発生が必要となる条件での操縦訓練に至る方法を考案する。その際、各段階でそれぞれの状況に応じた効果的な訓練の課題達成条件を設定する。 2.訓練プロトコルの設定と訓練効果を評価する。訓練データをもとに、難易度に合わせた課題達成度と訓練者の状況を分析する。そして、その結果を用いて訓練の難易度を段階的に変更する手法を考案する。 3.ノートPCのモニタに、筋電位信号に応じて運動する仮想的なオブジェクトを訓練者に提示することで、在宅でも簡易的に訓練を可能にする可搬型訓練システムを開発する。 4.提案手法による訓練の実施可能性を確認した結果をもとに、学術雑誌にて研究成果の論文を発表する。
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Causes of Carryover |
実験機材を当初より格安で購入できたため差額が生じた。 次年度において,この差額を試作した実験装置の改良・保守修繕に充てる計画をしている。
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