2020 Fiscal Year Research-status Report
反復経頭蓋磁気刺激と運転シミュレータによる高次脳機能障害者の運転再開支援法の開発
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20K11203
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
森 芳久 千葉大学, 医学部附属病院, 特任教授 (60343141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 義崇 千葉大学, 医学部附属病院, 特任教授 (20400963)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 反復経頭蓋磁気刺激 / ニューロモジュレーション / 運転再開支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳血管障害、外傷性脳損傷による高次脳機能障害者の中から、運転再開の希望のある18人に対して、神経心理学的評価、ドライビングシミュレーターによる評価、実車による路上運転評価を行った。 神経心理学的評価としては、①認知症の評価としてMMSE、②半側空間無視の評価としてBIT通常検査、③注意と処理速度等の評価としてTMT-A、TMT-B、④構成能力の評価としてReyの複雑図形の模写、⑤遂行能力に関する評価としてFAB、BADS、⑥総合的な運転能力の評価としてSDSAを行った。判定に迷う患者、精査の必要な患者については、SDMT、WAIS-IV、も追加して実施した。ドライビングシミュレーターはリハビリテーション科セラピストが評価表に基づいて教示の理解、集中の持続、同時処理、周囲の状況の把握、聴覚指示の聞き間違い、危険予測などを評価した。実車訓練は教習車を用いて、運転指導員の指導のもと行った。後部座席にリハビリテーション科セラピストが同乗して、準備、発進と加速、速度調節、ハンドル操作、ブレーキ操作、車体感覚、右左折などを評価した。 全員がMMSE24以上、BITの6項目全てでカットオフ値を超えていた。シミュレーター評価、実車評価を行って、運転を控えるべきとの診断されたものの中には、TMT-A、TMT-B検査にて境界または異常と判定された患者が多く、運転を希望する患者では、注意の選択性、持続性の低下が運転能力の低下につながっている可能性が示唆された。またこれらの患者の多くで、複雑図形の模写34点以上(36点中)、FAB11点以上(18点中)と構成能力、遂行能力がカットオフ値を上回っていたことから、WAIS-IVなどの検査を組み合わせて行い詳細な評価が必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19流行に伴って、患者を病院間で移動することが制限されていて、当院で検査できないSPECTによる脳血流評価を行うことができなかった。 今後rTMSをどの部位に行っていくかを決定するために、重要なステップであり、感染対策に留意しながら進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
運転免許を持っている高次脳機能障害患者の症例数をさらに増やして、統計学的な分析につなげる。 神経心理検査、運転機能を評価した患者に対して、脳血流SPECT検査を実施して運転再開に支障をきたす認知機能障害の主体ならびに脳障害部位を分析する。 脳中枢ニューロモジュレーションとして注目されている反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)を用いて、部位特異的な脳活動の刺激が運転機能を改善させるか、運転再開支援に有効であるか否かを検討する。
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Causes of Carryover |
COVID-19流行、院内クラスター発生によって、エントリーした患者を他院へ送って検査することができなくなったことで、研究の進行が遅れたため。
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