2022 Fiscal Year Annual Research Report
反復経頭蓋磁気刺激と運転シミュレータによる高次脳機能障害者の運転再開支援法の開発
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20K11203
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
森 芳久 千葉大学, 医学部附属病院, 特任教授 (60343141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 義崇 千葉大学, 医学部附属病院, 特任教授 (20400963)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高次脳機能障害 / 運転再開支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳血管障害や外傷性脳損傷などの脳部分損傷による高次脳機能障害者の運転再開は社会的問題となっているが、その評価や機能改善に向けた支援方法は確立していない。運転機能の阻害因子を分析するため、運転再開希望のある上記患者を対象に、神経心理学的評価、ドライビングシミュレーターによる運転評価、教習用自動車を使った路上での運転評価を行って、運転の可否を判断した。 神経心理学的評価としては、①認知症の評価としてMMSE、②半側空間無視の評価としてBIT通常検査、③注意と処理速度等の評価としてTMT-A、TMT-BにくわえてCAT(標準注意検査法)④構成能力の評価としてReyの複雑図形の模写(ROCF)、コース立方体テスト、⑤遂行能力に関する評価としてFAB、BADS、⑥総合的な運転能力の評価としてSDSAを行った。 運転を可能と判定した群と、運転不可と判定した群を比較すると、MMSE、BIT、ROCFの評価では両群とも正常の患者が多く有意差はなかった。注意機能ではTMT-A、TMT-B検査では運転不可群で延長する傾向があるが有意差はなかった。CATの中のSymbol Digit Modalities Test(SDMT)では運転不可群のスコアは運転可群のスコアよりも有意に低下していた。SDMTは記号に対応した数字を記入する視覚情報の処理課題であり、分配性注意が障害されると運転能力に影響することが示唆された。構成能力ではコース立方体検査にて運転不可群のIQは低い傾向がみられた。遂行機能ではFAB,BADSとも有意差はなかった。SDSAも有意差はなかった。 注意機能低下の改善で、運転再開が再判定で可能となる症例もあったことから、今後ニューロモジュレーションによる介入を行っていく際に重要な評価項目と考えられる。 COVID-19感染拡大、繰り返すクラスター発生によって、対象患者のSPECT検査を他院に出向いて行うことができなかったため、脳血流低下部位と高次脳機能障害・運転能力との相関を調べることはできなかった。
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