2022 Fiscal Year Research-status Report
有酸素運動が視空間認知に及ぼす影響:身体フレイル・頭頂葉機能連関
Project/Area Number |
20K11215
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高宮 尚美 広島大学, 脳・こころ・感性科学研究センター, 研究員 (70723469)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 視覚誘発電位 / 後部頭頂葉 / 低強度有酸素運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,後部頭頂葉を選択的に評価できるオプティックフロー(optic flow, OF)刺激を用いた視覚誘発電位検査(visual evoked potential, VEP)により,一過性有酸素運動の強度(低/中強度)に対する後部頭頂葉機能感受性にエネルギー代謝能が関与するのかを検証する。 2022年度は,実験の趣旨に合意した整形外科的および神経学的疾患,視覚障害を有さない右利きの健常成人20名を対象とし,運動を行わずにVEP検査のみを行うコントロール条件,トレッドミル運動直後にVEP検査を行う低強度有酸素運動条件および中強度有酸素運動条件の3条件を実施した。また,後部頭頂葉機能とエネルギー代謝脳の関係を調査するため,各被検者の体組成を計測した. これまでに,体組成計にて測定した基礎代謝基準値(Basal Metabolism Standard,BMS)を厚生労働省による年齢・性別に応じた「日本人のBMS」で除した基礎代謝基準値比 (BMS ratio, BMSr)で中央値以上/未満に分類し,各被検者各条件のVEPから抽出したN170-P200頂点間潜時を比較した.その結果,BMSrが中央値未満の群では低強度有酸素運動後に比べ,中強度有酸素運動後のN170-P200頂点間潜時を認めたが,BMSrが中央値以上の群ではこのような傾向は認められなかった.このことから,代謝機能がより低い傾向にある者は,VEPのN170-P200頂点間潜時という神経生理学的レベルにおいても,また低/中強度であっても,その有酸素運動強度の影響を反映して後部頭頂葉における視覚処理に異なる影響を与えることが示唆された. 今後,引き続き詳細な解析を行い,エネルギー代謝能と後部頭頂葉機能の相互作用性を検討し,成果作成・発表を行っていく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究当初の計画では,2020年度中に健常若年成人と高齢者を対象とし,低強度有酸素運動が後部頭頂葉に与える影響を調査する予定であった.具体的には,オプティックフロー(OF)認知閾値検査とOF刺激を用いた視覚誘発電位検査に,低強度有酸素運動がどのような影響をもたらすか,データ集積および分析を実施する予定であった.しかし,新型コロナウイルス感染症の影響により,健常成人に対する検証を実施できたものの,地域高齢者を対象とした実験は実施できなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた健常成人のVEPと体組成評価をもとに,成果発表・論文作成を行う.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により,地域高齢者を対象としたデータ集積に関わる費用(謝金等)の支払いができなかった.今後,成果発表や論文作成を中心に実施していく.
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