2020 Fiscal Year Research-status Report
脳梗塞モデルの回復に関するシグナリングカスケードの基礎的研究
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20K11233
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大渡 昭彦 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (30295282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下堂薗 恵 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (30325782)
吉田 輝 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (40347109)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ドーパミン / セロトニン / マイクロダイアリシス法 / 脳梗塞 / ラット / トレッドミル運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、運動学習や機能向上を効果的に促進する、最適な運動刺激や物理的な刺激を、主に脳内物質(神経伝達物質や神経栄養因子、それらのレセプターなど)を指標として明らかにすることを目的としている。また、脳梗塞モデルラットを用いることで、脳損傷後の機能回復にも応用でき、根拠に基づいた臨床の実践に貢献できる。 今回の研究では運動や脳梗塞発症により、線条体と海馬におけるドーパミン(DA)とセロトニン(5-HT)の細胞外濃度の変化を調査した。9週齢のWister系ラットの雄30匹を用いて、脳梗塞群(同側線条体6匹、対側海馬6匹)と対照群(同側線条体6匹、対側線条体6匹、対側海馬6匹)に分類した。各群にガイドカニューレを挿入し、脳梗塞群には血栓性梗塞を大脳皮質に作製した。線条体と海馬の細胞外濃度は、計測には微量生体試料分析システムを使用した。術後3日後にトレッドミル運動を10m / minで30分間行い、運動前後1時間測定を行った。各群の運動による影響は、同側線条体の対照群の5-HTでのみ運動前に有意に低かった。また、5-HTは対側線条体で対照群と比べて運動前に有意に高くなり(p<0.01)、海馬では運動前に梗塞群が高く(p<0.01)、運動時には対照群が高くなった。DAでは対照群と比べ全ての時間で同側線条体が有意に高くなり、海馬では運動前と運動後で梗塞群が有意に高くなった(p<0.05)。運動による影響では明確な違いはみられなかったが、測定する部位による違いがみられた。線条体では、同側でDAが有意に高くなり、対側で5-HTが有意に高くなった。海馬では対側で運動前にどちらも高くなっていた。これは、同側海馬が損傷されている影響による代償機能として働いたからではないかと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本的なところを確認できたという意味で「おおむね順調に進展している」と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
運動による影響に関する部分は、今後も検討する必要性はあるが、脳梗塞による各部位の機能変化を確認することができた。脳梗塞による影響を代償作用や機能減衰で確認できたことは非常に興味深い。今後は、運動の条件設定の見直しなどに取り組みたい。
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Causes of Carryover |
今年度の予定ではマイクロフラクションコレクタを使用してサイトカイン類の分析も予定していた。しかしながら、脳梗塞モデルの基礎データは収集できたものの、コロナ禍で研究時間の確保に支障が生じた。次年度で、マイクロフラクションコレクタを使用して収集した資料を、様々な角度(具体的にはELISA法など)から分析する費用として使用する予定である。
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[Journal Article] Effect of Functional Electrical Stimulation of the Gluteus Medius during Gait in Patients following a Stroke2020
Author(s)
Sota Araki, Masayuki Kawada, Takasuke Miyazaki, Yuki Nakai, Yasufumi Takeshita, Yuta Matsuzawa, Yuya Yamaguchi, Akihiko Ohwatashi, Ryuji Tojo, Toshihiro Nakamura, Shintaro Nakatsuji, Ryoji Kiyama,
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Journal Title
BioMed Research International
Volume: 2020
Pages: 1~6
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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