2020 Fiscal Year Research-status Report
予測制御とフィードバック制御の評価に基づいた子供の運動発達ナビゲーターシステム
Project/Area Number |
20K11235
|
Research Institution | Komatsu University |
Principal Investigator |
李 鍾昊 公立小松大学, 保健医療学部, 教授 (40425682)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崔 雄 群馬工業高等専門学校, 電子情報工学科, 准教授 (30411242)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 運動発達 / 予測制御とフィードバック制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では子供の運動機能と運動学習能力を脳の運動制御観点から定量的に分析・可視化できる「子供の運動発達ナビゲーターシステム」を構築することを目的とする。今年度には、共同研究先であるハンドン大学(韓国)の付属小学校と小松市にある子供の交流施設の協力を得て知覚運動統合の発達が観察できる6歳児から小学生までの子供を対象に「各年齢に応じた運動機能と運動学習能力の把握」や「子供の運動発達と小脳の役割」を運動制御の観点から分析している。特に、子供の運動発達と運動学習において練習と経験を通して運動技能を学ぶフィードバックゲイン信号駆動のチューニングモデルを新たに提案し、その研究内容を共同研究者が英文雑誌(Frontiers in Computational Neuroscience(2020))に掲載するのに2番目の著者として貢献した。また、子供の運動発達と小脳との関係を、大脳と小脳の生理学的かつ形態学的根拠に基づいて分析する基礎研究を共同研究として行い、その研究内容を共同研究者が英文雑誌(Frontiers in Systems Neuroscience(2020))に掲載するのに3番目の著者として貢献した。そして、手首による指標追跡運動において予測制御器とフィードバック制御器の出力を分離してそれぞれの精度を分析する方法に基づいて子供の各年齢に応じた運動機能や運動制御能力の発達と異常を分析できる新しい分析方法や、子供の3次元空間上の上肢運動を3次元仮想現実空間で直接評価できるシステムと分析方法を国際学会(2021 1st International Conference of the Brain Korea21 FOUR Interdisciplinary Program in IT-Bio Convergence System)の招待講演で紹介した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である令和2年度には、各年齢に応じた運動機能と運動学習能力を運動制御の観点から分析できる「運動発達分析用データベース」に必要な症例を集めている。これまでの共同研究先であるハンドン大学(韓国)の付属小学校の協力を得て知覚運動統合の発達が観察できる6歳児から小学生までを対象に、手首マニピュランダムを用いた指標追跡運動を行い、33名からの手首運動(指標追跡運動)を記録した(7歳:7人、8歳:6人、9歳:5人、10歳:3人、11歳:3人、12歳:9人)。そして、共同研究者がそのデータに基づいて各年齢別の運動能力、特に遅い指標追跡運動と早い指標追跡運動に対するFeedforward制御とFeedback制御能力の差を定量的に評価した結果、小学校4年生以上になると大人と同じぐらいの予測制御の精度になることが明らかになり、その研究内容を学術論文としてまとめている。また、指標追跡運動を子供や発達障害児にも楽しくできるように、指標追跡運動を子供の大好きな「タブレットPC用のゲーム形式」として改良し、画面上のカーソルを指で直接追跡できる「タブレットPCを用いた簡便・安価な運動機能検査システム」の開発を共同研究として行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、各年齢に応じた運動機能と運動学習能力の把握や小脳の役割を運動制御の観点から分析できる症例を増やし、「運動発達分析用データベース」に加える。これに関してはこれまでの共同研究先であるハンドン大学(韓国)の付属小学校に加え、小松市にある子供の交流施設との連携研究として行い、構築されたデータベースに基づいて子供の知覚運動機能の継時的変化を運動制御の観点から分析する予定である。特に今後なるべく多くの子供からデータを取得する必要があり、連携先のスタッフにデータ取得を委任することが必須となる。そのため、2年目である令和3年度には連携先のスタッフが独自にデータを取得できるように指導する予定であり、定期的に訪問し、スタッフの技量と記録システムのチェックを行う。さらに記録した子供のデータに対する分析プログラムも加え、連携先のスタッフが自らデータの記録や分析もできる体制を備えるようにする。
|
Causes of Carryover |
初年度である令和2年に予定した共同研究先への出張や会議がコロナウィルス感染防止のため、中止と遠隔会議になったため、一部の研究費が残額として残ることになった。
|
Research Products
(4 results)