2023 Fiscal Year Annual Research Report
左室駆出分画の保たれた心不全における簡便な運動処方と左房機能改善効果の検討
Project/Area Number |
20K11255
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
井上 勝次 愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (50512167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 晴彦 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師(特定教員) (10598634)
木下 将城 愛媛大学, 医学部附属病院, 医員 (60838564) [Withdrawn]
山口 修 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (90467580)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 心不全 / 運動療法 / 活動量計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は慢性心不全症例における活動量計を用いた簡易運動療法の臨床応用を実践することを目的とした。症例登録後、1ヶ月ごとに活動量計のデータを取得し、自覚症状、体重、血圧の推移を観察した。運動処方は心肺運動負荷試験(CPX)の最大酸素摂取量の40-60%を目安に行った。活動量計で取得できる指標は、活動時間、歩数、カロリー、METs、エクササイズ(METs × 時間)であり、運動習慣の獲得は、週3回以上、20分以上の運動で、活動量計データから運動処方の強度が達成できた症例と定義した。当院で慢性心不全と診断した8名において活動量計を用い、運動療法の実践度についてデータ取得した。登録可能であった8名のうち、7名が研究前に比し、週3回以上、20分以上、運動処方を満たす運動習慣を獲得したが、1名で設定した運動習慣を獲得することが出来なかった。運動療法を継続できた7名のうち、5名で運動耐容能の改善を認めた。運動耐容能の改善は、客観的に心肺運動負荷試験(CPX)における最大酸素摂取量の上昇で確認した。運動耐容能が改善した5名は、心機能予備能のある拡張型心筋症、心臓弁膜症症例であった。2名は最大酸素摂取量の改善を認めなかった。運動耐容能の改善を認めなかった2名は、心房細動合併非閉塞性肥大型心筋症症例と進行性特発性拡張型心筋症の症例であった。前者は研究終了後に心房細動に対するカテーテルアブレーション治療を行い、後者は至適薬物療法の強化を行った。運動習慣が根付かなかった1名はうつ病があり、精神科での介入を要する症例であった。本研究を通して、活動量計を用いた運動療法は臨床の現場で実施可能と考えられ、運動耐容能改善に寄与すると思われた。一方で、難治性心疾患や精神疾患を伴う症例は、不整脈や心筋症への積極的薬物治療や非薬物治療の導入やメンタルケアなど多面的な介入が必要と考えられた。
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